「どうすれば、上司や経営者の考えや行動を変えさせることができるでしょうか?」
DXについての講義や講演をすると、このような質問を頂くことがあります。
「DXとは、デジタル前提の社会に適応するために、会社を作り変えることです。そのためには、アナログ前提の組織や経営のあり方、考え方や行動習慣を変えなくてはなりません。」
こんな話しを聞いての質問です。しかし、冒頭の質問には、3つの考え違いがあるようです。
他人は変えられると考えている
自分が、他人から「変わりなさい」と言われ、考え方や行動を変えることができるでしょうか。自分は変わりたいけれど、他人に変えられたくは内という人がほとんどでしょう。経営者も同じです。ならば、他人をどうこうしようという前に、まずは自分が変わることです。
あなたの行動を見て、なるほどと共感した人は、自分で行動を起こすはずです。そんな人たちの間に共感の輪が拡がれば、やがてはあなたが変えたい人も、自発的に行動を変えるでしょう。
他人に決めてもらいたいと考えている
組織や会社は、お客様や社会に価値を提供してこそ、成り立ちます。つまり、上司や会社に評価されることではなく、お客様や社会に評価されることこそが、あなたの目指すことです。そのために何が最善なのかを考えて行動すべきです。
お客様や社会がこうしろと命じることはありません。自分で考え、他者と接し、自分で答えを見つけるしかありません。そして、自分で決断し行動することです。そうすれば、お客様や社会に評価され、結果として、あなたの業績も上がり、会社にも評価されます。このような行動習慣が、自分を成長させる原動力となります。そんな大切なことを他人任せにしていいのでしょうか。自分で決めてこそ、成長の機会は訪れます。
そんな習慣を持つあなたは、社内でも、社会でも存在感を増し、あなたの言葉は、影響力を高めていきます。
大切なことは、「上司や経営者が変わらなければ、組織や会社は変わらない」と言う考えを捨てて、「自分が変われば、組織や社会を変えられる」ことだと思います。
頑張れば報われると考えている
ドラゴンクエストにはまり、気がつけばこんな時間になっていた。
大好きなことだからこそ、時間も忘れて没頭し、気がつけばそれなりの達人になっている人は、結構います。
「あなたのような一流のプロゲーマーになるために、学校を辞めてゲームに専念してスキルを磨こうと思っています。」
そんな質問に有名なプロゲーマーは、つぎのように答えていました。
「プロゲーマーは努力してなるものではなくて、気がつけば“なっている”ものです。」
楽しくて、大好きだから、努力を努力と感じない。だからこそ、スキルも磨かれ、結果として一流になっていたというのは、よくある話しです。
「どうすれば、あなたのようにITのトレンドについての知識を得ることができるのでしょうか。」
ITが大好きになることです。いや、大好きだから、四六時中ネット記事を探し、面白そうだと思う本を読み漁る。努力もしていないし、頑張ってもいません。純粋に楽しいのです。
会社を良くしたい、上司や会社に評価してもらいたい。あなたは、そのために頑張ることを楽しめますか。それが、あなたの幸せなのでしょうか。
自分が成長し、社会に評価され、あなたの発言や行動が、影響力を持つようになることの方が、よほど楽しいし、幸せなように思います。自分の仕事に成長の機会を見出し、それを楽しむことです。そうすれば、結果として、会社でも評価されます。そんなあなたを評価してくれない会社なら、辞めてしまった方がいいと思います。
他人は変えられない、他人に期待しない、頑張ってもムダ
こんな私的な価値観をあなたに押しつけるつもりはありません。しかし、この考えに共感を持って頂けるのなら、他人の行動を変えようとするのではなく、まずは自分の行動を変えることを楽しんでみてはどうでしょう。
「どうすれば、上司や経営者の考えや行動を変えさせることができるでしょうか?」
そんなことは、できません。報われることのない努力にエネルギーを費やすことは、辛いことです。ストレスもたまります。
自分が楽しみ、幸せになることを、他力本願で誰かに期待するのではなく、自分の成長のために会社をうまく利用すればいいのです。
「具体的に何をすればいいか決めて下さい。そうすればその通りやりますから。」
そんな生き方より、自分が楽しいと感じられるテーマを探求し、自分なら何ができるかを考え、行動を起こすことです。最初は大変かも知れませんが、だんだんと楽しめるようになります。
そして、成功も失敗も正直に発信することです。それが、正しい方向を向いているのなら、共感者が出てきます。そして仲間が増えていきます。その数が一定数を超えたときに、組織や会社が変わります。
ただ、そうなるまでは、時間がかかり、その間は、会社から評価されません。むしろ、針のむしろであることを覚悟はしておくべきです。人を変えるとは、そういう覚悟がなくてはできません。言葉巧みに人を変えることは、容易なことではありません。例え、一瞬その気にさせることはできても、心の奥底や行動原理を変えることにはなりません。
でもこれを乗り越えることができれば、上司や経営者の考えや行動を変えることができます。そして、何よりも自分の成長を実感できるに違いありません。
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2022年10月3日紙版発売
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斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1
目次
- 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
- 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
- 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
- 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
- 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
- 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
- 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
- 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
- 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
- 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー
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