時間をかけてもなかなか成果をあげられない新規事業を抱えてはいないでしょうか。そんなときには、次のような視点で見直してみては如何でしょう。
新規事業戦略を立てるときに「心がけること」
ストーリーとして描くこと
新規事業の進め方やお客様へのアプローチ、事業展開といった戦略を「ストーリー」として描き、そこに足りない情報を補うという視点が必要です。経営企画や現場の事業に携わる人たちは、とかく分析をしたがる傾向にあります。しかし、これから新しい事業を始めようと言うときには、それとは逆に事業の全体を総合的に捉え、それを時間軸に沿ってどのように実現してゆくかのストーリーとして捉える視点を持つ必要があります。
まずは、新規事業のストーリーを描くことです。そして、そのストーリーを描くのに必要な情報を調査し、そのストーリーを手直しし、補強するといった態度が必要です。
また、そのストーリーに沿って新規事業をすすめてゆく過程では、様々な出来事が起こります。そこでは分析的態度を発揮して、うまくいったことや改善すべき点を見つけ出し、ストーリーを修正してゆくことも必要になります。
戦略は総合的な視点でストーリーとして描き、実践は分析的な視点で改善を積み上げることが成功のためには欠かせません。
インサイド・アウトで考えること
「世の中はこうなるだろう」という予測に基づいて戦略を決定するのではなく、「世の中をこうしたい」や「お客様をこうしたい」というこちらの意思に基づいて戦略を決定することです。
前節の「ストーリーを描く」とき、世の中のことを分析的に捉え、世の中がこうなるからそれに合わせて、こうしようというアウト・サイド・インの発想では、どうしてもユニークな発想は生まれず、明確な差別化を生みだすことはできません。むしろ、積極的に理想や夢を描き、自分たちが思い描くあるべき姿をどうすれば実現できるかといったインサイド・アウトの発想を持つことで、魅力的な新規事業を描いてみるべきでしょう。
もちろん、単なる一方的な思い込みだけであるべき姿を描くのではなく、先に述べた現場の課題を実感することから発想しなければならなりません。つまり、その課題を対処療法的に解決しようとするのではなく、その課題の根本にある事実を突き詰め、その課題を含む全体の仕事の流れや仕組みを含め、大きなストーリーとしてあるべき姿を描くことです。
「世の中はこうなるだろう」を参考にしつつも、「世の中をこうしたい」という積極的な視点を持つことこそ、魅力的な戦略を生みだすことにつながります。
何をしないかを決めること
「何をするか」ではなく「何をしないか」を決定することで、競合他社との違いを作る事が大切です。競争優位を築こうとするとき、他社と自社とで、どちらがより優れているかで違いを示すやり方と、違うものであり優劣のつけられない本質的な違いを示すやり方があります。
例えば、前者は、価格や大きさなど数値的尺度で測れるもので「量的な差別化」です。後者はデザインやアプローチする市場などで差異化する「質的な差別化」です。新規事業では、後者を重視しなければなりません。それを考える時、「何をするか」ではなく、「何をしないか」を考えることが重要になります。
それは事業には常に資金や人材、スキルなどの制約がつきまとうからです。それを無視することはできません。だから、「何でもやろう」と考えるのではなく、ターゲットとする顧客や市場の現実的なニーズを見極め、質的な差別化を実現できる範囲で「何をやらないか」を決めることです。そうすれば、自ずと「何をやるか」が決まります。
できることは何でもやるでは資源も足りず、スピードも担保できません。まずは、本質的な差異を生みだすために「何をやらないか」を決めて、いち早く市場へ投入し、必要に応じて徐々にやることを増やしてゆくことが大切です。
新規事業戦略を立てるときに「注意すること」
「新規事業計画」作成を目的としないこと
「何を売りたいのですか?」
新規事業についての説明をうけて、こんな質問を投げかけてしまいました。
「皆さんに何ができるかは分かりました。でも、それをどんなビジネスに仕立てようとしているのでしょうか。」
まだそこまでは考えていないとのことでした。
「一般論としてのニーズは分かります。しかし、具体的に、だれが、どのようなシーンで、何に困り、どのようにしたいと考えているのでしょうか。その実感を持っていますか?」
リアリティのある生身の「使う人」が存在しない想像だけのビジネスがうまくいくはずのないことは、容易に想像できます。それにもかかわらず、自分たちのできることと一般論を都合良くつなげて、新しい事業を描き、あたかも大きな可能性があるかのような「つじつまの合った事業計画」を作ってしまう。そんな現場に幾度となく立ち会ってきました。なぜ、そんなことをしてしまうのでしょうか。
それは彼らの目的が、「新規事業」を作ることではなく、「新規事業計画」を作ることになっているからです。
計画には承認者が納得できる合理性が必要です。そのために、これまでの経験や既存の顧客、巷の話題など、経営者に分かる言葉や数字をつなぎ合わせ、相手に無用なストレスを与えず、すんなりと納得してくれそうな計画を作ろうとします。わかりやすいことやロジックが優先され、それにそぐわない事実は切り捨てられてしまいます。
その結果、自分たちのできることや既存顧客といった既存の事業資産に都合が良い市場を創造し、その市場でこちらに都合の良いように振る舞ってくれる顧客を創造し、その市場や顧客に都合の良いデータとその解釈を与えることで、いかにもうまくいきそうな事業計画を創造してしまいます。
そもそも新規事業とは、新たな市場や顧客の開拓なわけですから「既知」や「既存」がそのままでは使えません。それにもかかわらず、既知や既存の延長でしか考えられないとすれば、それはもはや新規事業とは呼べません。
また、「新規事業」を既存事業の計画と同じフォーマットで説明できなければ承認しないといった意志決定プロセスも新規事業開発の足かせになります。「データとしての裏付けのある事業計画がなければ承認しない」という意志決定にこだわれば、良いアイデアをもった事業プランでも、評価されることはなく、実行に至らないままに潰されてしまうからです。それでも、なんとかカタチにしなければとのプレッシャーから、「新規事業を実現し成功させる」ことではなく、「新規事業計画を作成し報告すること」ことが目的となってしまい、実効性のない取り組みに終わってしまいます。
「新規事業計画」を作ることではなく、「新規事業」を作ることを目的にしなくてはなりません。そうしなければ、いつまでたっても、成功する新規事業は生まれないでしょう。
業績評価基準を適切に設定すること
これまでの業績評価基準が売上と利益であり、それをそのまま新規事業に適用しても、現場のモチベーションを得られないことがあります。例えば、既存のビジネスが物販や役務の提供などが主体のフロー型事業構造であれば、業績評価基準が売上と利益となっているはずです。しかし、継続的なサービスを提供するストック型事業構造への転換を目指そうとすると、一時的には売上と利益の減少を伴います。それを許容し、それに合わせて業績評価基準を変えなければ、現場のモチベーションを保つことはできません。
その新規事業がどれほど優れたものであったとしても、業績評価の基準が、新規事業にふさわしくなければ、現場は動かず目的を達成することはできません。
最初のうちは、あるべき論や精神論で人を納得させて動かすこともできるかもしれませんが、頑張っても自分の業績評価に結びつかないようでは、現場はやがて息切れしてしまいます。
新規事業を成功させるためには、その事業にふさわしい業績評価基準も合わせて作らなくてはなりません。それができれば、現場は動きます。その結果として、その事業の意義は理解され、事業に取り組む現場の士気も醸成されてゆきます。
根拠のない思いつきの目標設定をしないこと
「3年後に10億円の事業を実現して欲しい」
こんな根拠のない思いつきの目標が与えられ、それがプレッシャーとなって新規事業開発に取り組む人たちの士気を下げてしまうことがあります。
「3年後には10億円」というフィルターにかけられてしまえば、例えいいアイデアが浮かんでも「これはだめだなぁ」と自ら却下してしまいます。
もちろん事業にKPIや裏付けは必要です。しかし、最初から「3年後には10億円」ではなく、まずは「半年後に100万円」といった実現可能なKPIでもいいでしょう。あるいは、「将来の会社を支える事業の柱にして欲しい」といった夢でもいいかもしれません。例え失敗しても、次につながる何かが残るかもしれません。
こうやって、アイデアの芽を摘むことなく、トライ・アンド・エラーを繰り返させることです。そして、その事業の巡航速度が見えてきたら「来年度は1億円、3年後は5億円」といったKPIを与えてはどうでしょう。このようなやり方を先に紹介した業績評価基準に反映させることで、現場の士気を維持することが大切です。
新入社員のための最新ITトレンド・1日研修
「お客様の話しに、ついてゆけません。言葉が分からないんです。」
こんな話をする新入社員は少なくありません。もちろん経験のない彼らが仕事をうまくこなせないのは当然のことです。しかし、「言葉が分からない」というのは別の問題です。
IoT、AI、クラウドなどのキーワードは、ビジネスの現場では当たり前に飛び交っています。しかし、新入社員研修ではITの基礎やプログラミングは教えても、このような最新ITトレンドについて教えることなく現場に送り出されてしまいます。そのため、お客様が何を話しているのか分からないままに、曖昧な応対しかできず、自信を無くしてしまう、外に出るのが怖いなどの不安をいだいている新入社員も少なくないようです。
そんな彼らに、ITの最新トレンドを教え、ITがもたらす未来への期待、そこに関わることへの誇りを持てるようにと企画しました。
参加費が1万円なら、懐の寂しくても自腹で参加できるはずです。また、既に新入社員研修の予算を使い切った企業でも、何とかやりくりして頂けるのではないでしょうか。そんな想いで、この金額にしてみました。また、100ページを超えるテキストは、パワーポイントのままでロイヤリティフリーで提供させて頂きます。
実施内容
- 日時:下記日程のいずれか1日間(どちらも同じ内容です)
- 【第1回】8月28日(月)10:00〜17:00
- 【第2回】9月04日(月)10:00〜17:00
- *昼休み1時間、休憩随時
- 会場:株式会社アシスト・本社1階セミナールーム/市ヶ谷
- 定員:50名/回
- 費用:1万円(税込10,800円)
- 新入社員以外(例えば、他業界からIT業界に転職された方や人材開発・研修担当の方)で参加されたい場合は、3万8千円(税込 41,040円)でご参加いただけます。
- 内容:
- ITビジネスの歴史と最新トレンド
- クラウド・コンピューティング
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【新規】IoTとAIの一般的理解と本当のところ p.4
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サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
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【新規】従来のやり方とIoTの違い p.18
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【新規】ERPシステム/パッケージとクラウドでの利用形態 p.11
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