- 技術的には無理
- できたとしても、コストがかかりすぎる
- 人間がやったほうが、融通が利く
その通りだと思います。しかし、テクノロジーの進化やサービスの拡充が日増しに加速しているいま、この3つの言い訳も、それに合わせて、常に新しい基準で判断すべきです。
「IoTでは通信コストがかかりすぎるから、普及するのはまだ先の話」
SIGFOXが提供するサービスは、年額100円で利用できます。接続台数が多い場合であること、あるいは機能的な限界もありますから、全てに使えるわけではありませんが、それでも「できること」の可能性は大きく広がるはずです。
「クラウドを使ったからと言って、安くはなりませんよ。むしろ高くつくこともあります」
あるWebシステムを、所有する場合のシステム構成をそのままに、AWSのEC2でシステムを作ると年額25万円ほどかかったそうです。しかし、AWSのFaaS(Function as a Service/サーバーレス・アーキテクチャ)であるLambdaを使うことを前提にアーキテクチャを最適化したところ、年額900円で使えたそうです。もちろん、全てのケースでこれほど劇的なコスト削減ができるわけではないでしょうが、アプリケーションによっては、こんな使い方も可能であることは、もはや常識です。
「工場のものづくりの現場では、他の人との協調なくして、効率のいい仕事はできません」
米Rethink Robotics社のBaxterという産業用ロボットは、人間が働く製造ラインに並べて設置できます。人間の動きをセンサーで捉えながら、その動きに合わせて作業をこなします。しかも金額は250万円ほどです。確かに、人間にしかできない作業もあるでしょう。しかし、これまで人間がやっていた多くの単純作業をこのロボットに置き換えれば、人間には人間にしかできないことへシフトさせることができます。人手不足や新興国との価格競争への効果的な対策にもなるかもしれません。
これまでも、そして、これからも、ITの目指しているのは「時間と空間の短縮」です。つまり、ITをうまく使えば、人間の関与を無くすことで「人間がやるからできないこと」を無くすことができ、業務処理の時間短縮や距離の離れた場所に情報を届ける、あるいは地域を越えて協働し、ビジネスの価値を高めることもできるわけです。
「自動化」という言葉に置き換えて考えることもできるでしょう。つまり、人間の労力でこなしてきた仕事を機械やソフトウエアに置き換えることで、自動化を推し進め、自らの役割を他の役割にシフトさせてきました。そして、人工知能の進化と共に、自動化できる仕事の範囲は拡がりつつあるのです。
このようなテクノロジーの進化を正しく直視すべきです。そして、その進化のスピードは、加速度を増しています。いずれはできるだろうと高をくくっていると、既にそんなことはできているといったことが起きているのです。
ITに関わる仕事をするということは、そんな進化が急速に進むテクノロジーを正しく目利きし、使えるカタチ、つまりや実装技術やサービスへと転換し、「時空間の短縮」あるいは「自動化」という価値によって、お客様のビジネスの成果に貢献することです。
そんなITビジネスの本質的な価値を棚上げし、過去のテクノロジーの上に築かれた自らのビジネスを守るために、お客様に時代遅れを強要することが、正しいことなのでしょうか。例えば、未だ次のようなことが平気で行われています。
- お客様の自前の設備を仮想マシン化し、その構成をそのままにIaaSへ移行することだけでクラウド・インテグレーションと称し、何ら新たな付加価値を生みだすことがないのに、それを売り込んで工数を稼ごうとしている。
- アジャイル開発やDevOpsの本質を正しく理解しないままに、「それらは、しょせん小規模なWebアプリケーションにしか使えないので無理です」と誤った解釈を押しつけ、お客様のIT改革を後退させようとしている。
- お客様はパブリック・クラウドへの移行をすすめたいのに、「それは保証できません」という殺し文句で、お客様を躊躇させ、いままで通りの設備、開発、運用に落ち着かせ、これまでの仕事の守ろうとする。
こんなことを続けていれば、お客様からの信用を失い、別の会社に置き換えられてしまうでしょう。
テクノロジーの進化に「見猿聞か猿言わ猿」を決め込み、いままで通りを押し通そうとするのではなく、進化や変化を先取りして、お客様の未来の先導役となることこそが、ITビジネスの価値であり、魅力ではないでしょうか。
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*クラウドについてのプレゼンテーションをインフラ編から独立させました。
*使いやすさを考慮してページ構成を変更しました。
*2017年度新入社員研修のための最新ITトレンドを更新しました。
*新しい講演資料を追加しました。
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クラウド・コンピューティング (111ページ)
*「インフラとプラットフォーム編」より分離独立
【新規】クラウドによるコスト改善例 p101-108
開発と運用(68ページ)
【新規】管理運用の範囲 p.37
【新規】サーバーレスの仕組み p.40
インフラとプラットフォーム(211ページ)
*クラウドに関する記述を分離独立
【新規】多様化するデータベース p.127
【新規】クラウドデータベース p.156-158
IoT(101ページ)
【新規】IoTはテクノロジーではなくビジネス・フレームワーク p.16
【新規】LPWA主要3方式の比較 p.52
人工知能(103ページ)
【新規】自動化と自律化が目指す方向 p.14
【新規】操作の無意識化と利用者の拡大 p.21
【新規】自動化・自律化によってもたらされる進歩・進化 p.22
テクノロジー・トピックス (51ページ)
【新規】RPA(Robotics Process Automation) p.17
サービス&アプリケーション・基本編 (50ページ)
*変更はありません
ビジネス戦略(110ページ)
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ITの歴史と最新のトレンド(14ページ)
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【新入社員研修】最新のITトレンド
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実施日: 2017年3月14日
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【講演資料】ITを知らない人にITを伝える技術
拙著「未来を味方にする技術」出版記念イベント
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