マイクロサービス、コンテナ、サーバーレス、イベント・ドリブン、FaaS(Function as a Service)
この5つの言葉が、これまでのSIビジネスの存続を難しくしてしまうかもしれません。それがどういうことかが分からないとすれば、SIビジネスの置かれている危機的状況を理解できているとは言えません。
「デジタル・トランスフォーメーション」という言葉を最近よく聞くようになりました。この言葉の本質を理解すれば、それがSIビジネスにとって破壊的な影響をもたらすことだと理解できるはずです。
前者の5つの言葉は、インフラの構築や運用、アプリケーション開発を根本的に変えてしまう可能性があります。アプリケーション開発者は、インフラやその運用を気にせずにアプリケーションを開発できるようになり、業務ニーズの変更に即応できるようになるでしょう。
ビジネス環境の不確実性がかつてなく高まっているいま、環境変化への即応力は経営の生命線です。同時に、ビジネスとITの一体化さらにはITを前提とした新たなビジネス・モデルが、企業の競争力の源泉になりつつあります。そうなると、ビジネス環境の変化に即応するためには、ITもまた即応できる俊敏さを持たなくてはなりません。それを支える手段のひとつが、この5つの言葉を組み合わせることで実現できます。
アジャイル開発やDevOpsも同じ文脈の中で捉える必要があるでしょう。つまり、両者は共に、ビジネス環境の変化に即応し、ビジネスの成果に直接貢献するための取り組みだといえるでしょう。
後者の「デジタル・トランスフォーメーション」の「トランスフォーム=置き換えること、変換すること」の意味するところは、「人間が仕事をすることを前提にするビジネス・プロセス」から「機械やソフトウェアが仕事をすることを前提にするビジネス・プロセス」へ「トランスフォーム」することです。
これまでは、人間が仕事をすることを前提に、業務プロセスは設計されていました。しかし、徹底して無駄や人的ミスを排除できる業務プロセスを作っても、人間が仕事をする以上、人間の持つ非合理性や労務的な制約を完全に排除することはできません。しかし、人間ではなく、一切の仕事を機械やソフトウェアだけで実現できるのであれば、このような制約から解放され、劇的な生産性や品質の向上を実現できます。
かつて、そのようなことは非現実的なことでしたが、人工知能やロボット、IoTやクラウドの進化と普及と共に、その可能性が広がってきたのです。「デジタル・トランスフォーメーション」とは、そんな人間前提から機械やソフトウェア前提へと業務プロセスを転換することを意味する言葉です。
この変化の最前線に立たされているのがSIビジネスです。例えば、インフラ機器の販売や構築、運用は、クラウドや自動化に置き換えられつつあります。また、アプリケーションの開発は、先の5つの言葉やアジャイル開発/DevOpsに代表されるように、スケーラビリティや俊敏さに重心が置かれ、手間のかかる構築や運用はクラウド・サービスに任せてしまうという流れが定着しつつあります。まさに、デジタルトランスフォーメーションの最前線で、この現実に向き合っているのです。
「いつまで、いままでのやり方が通用するのでしょうか?」
お客様がITに求める価値はこれまでにも増して高まっています。この流れは、当面変わることはありません。それにもかかわらず、利益が伸びない、あるいは利益率が減少しているとすれば、これはもはや危機的状況と言えます。稼働率が上がっているのに利益率が下がっているとすれば、そのビジネスに付加価値が無いことを意味し、早晩、自動化やクラウドに置き換わってもおかしくありません。
かつて、どんな田舎町にもレコード屋さんがありました。しかし、いつの間にか街の中からなくなってしまいました。音楽の需要は今も昔も旺盛です。しかし、レコードの需要はなくなってしまったのです。ITの需要は無くならなくても、工数の需要はなくなってしまいます。そのことと重ねて考えてみてはどうでしょうか。いま、そんな時代の流れの只中にあるのです。
過去の常識や成功モデルがいつまでも通用することがないことは、歴史を見れば明らかです。ITに関わるビジネスは、その変化が極めて速く、またITの進化がこの変化を加速しています。そんな変化に追従し続けることは容易なことではありません。ただ、この変化が何処に向かってすすんでいるのかを知り、3年後あるいは5年後の常識に向けて手を打っているかどうかは、自らの未来にとって決定的な意味を持ちます。
ITを提案し構築する仕事は、お客様の3年後あるいは5年後に責任を持つ仕事です。その当事者が、自分の未来に責任を持てないとすれば、お客様からも信頼を失うでしょう。そうなれば、ますます自らを厳しい状況に追い込んでしまうだけです。
冒頭に示した「5つの言葉」や「デジタル・トランスフォーメーション」だけではありません。いまSIビジネスの置かれている状況は、明らかに非常識です。しかし、この非常識が常識と受けとめられるようになるには、さほど時間はかかりません。ならば、いち早くいまの非常識を自分たちの常識に変え、変化を先取りすることが、生き残りと発展の前提となるはずです。
【受付開始】ITソリューション塾・東京/大阪/福岡
「IoTやAIで何かできないのか?」
「アジャイル開発やDevOpsでどんなビジネスができるのか?」
「うちの新規事業は、なぜなかなか成果を上げられないのか?」
あなたは、この問いかけに応えられるでしょうか。
「生産性向上やコスト削減」から、「差別化の武器としてビジネスの成果に貢献」することへとITは役割の重心を移しつつあります。そうなれば、相手にするお客様は変わり、お客様との関係が変わり、提案の方法も変わります。そんな時代の変化に向き合うためのお手伝いをしたいと思っています。
東京での開催は5月16日(火)からに決まりました。また、大阪では5月22日(月)からとなります。さらに福岡は7月11日(火)からを予定しています。
詳細日程や正式なお申し込みにつきましては、こちらをご覧下さい。
ITソリューション塾では、IoTやAI、クラウドといったテクノロジーの最前線を整理してお伝えすることはもちろんのこと、ビジネスの実践につなげるための方法についても、これまでにも増して充実させてゆきます。
また、アジャイル開発やDevOps、それを支えるテクノロジーは、もはや避けて通れない現実です。その基本をしっかりとお伝えするよていです。また、IoTやモバイルの時代となり、サイバー・セキュリティはこれまでのやり方では対応できません。改めてセキュリティの原理原則に立ち返り、どのような考え方や取り組みが必要なのか、やはりこの分野の第一人者にご講義頂く予定です。
2009年から今年で8年目となる「ITソリューション塾」ですが、
「自社製品のことは説明できても世の中の常識は分からない」
当時、SI事業者やITベンダーの人材育成や事業開発のコンサルティングに関わる中、このような人たちが少なくないことに憂いを感じていました。また、自分たちの製品やサービスの機能や性能を説明できても、お客様の経営や事業のどのような課題を解決してくれるのかを説明できないのままに、成果をあげられない営業の方たちも数多くみてきました。
このようなことでは、SI事業者やITベンダーはいつまで経っても「業者」に留まり、お客様のよき相談相手にはなれません。この状況を少しでも変えてゆきたいと始めたのがきっかけで、既に1500名を超える皆さんが卒業されています。
ITのキーワードを辞書のように知っているだけでは使いもものにはなりません。お客様のビジネスや自社の戦略に結びつけてゆくためには、テクノロジーのトレンドを大きな物語や地図として捉えることです。そういう物語や地図の中に、自分たちのビジネスを位置付けてみることで、自分たちの価値や弱点が見えてきます。そして、お客様に説得力ある言葉を語れるようになるのだと思います。
ITソリューション塾は、その地図や物語をお伝えすることが目的です。
ご参加をご検討頂ければと願っております。
最新版(4月度)をリリースしました!
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
新入社員のための「最新トレンドの教科書」も掲載しています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
*クラウドについてのプレゼンテーションをインフラ編から独立させました。
*使いやすさを考慮してページ構成を変更しました。
*2017年度新入社員研修のための最新ITトレンドを更新しました。
*新しい講演資料を追加しました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
クラウド・コンピューティング (111ページ)
*「インフラとプラットフォーム編」より分離独立
【新規】クラウドによるコスト改善例 p101-108
開発と運用(68ページ)
【新規】管理運用の範囲 p.37
【新規】サーバーレスの仕組み p.40
インフラとプラットフォーム(211ページ)
*クラウドに関する記述を分離独立
【新規】多様化するデータベース p.127
【新規】クラウドデータベース p.156-158
IoT(101ページ)
【新規】IoTはテクノロジーではなくビジネス・フレームワーク p.16
【新規】LPWA主要3方式の比較 p.52
人工知能(103ページ)
【新規】自動化と自律化が目指す方向 p.14
【新規】操作の無意識化と利用者の拡大 p.21
【新規】自動化・自律化によってもたらされる進歩・進化 p.22
テクノロジー・トピックス (51ページ)
【新規】RPA(Robotics Process Automation) p.17
サービス&アプリケーション・基本編 (50ページ)
*変更はありません
ビジネス戦略(110ページ)
*変更はありません
ITの歴史と最新のトレンド(14ページ)
*変更はありません
【新入社員研修】最新のITトレンド
*2017年度版に改訂しました
【講演資料】アウトプットし続ける技術〜毎日書くためのマインドセットとスキルセット
女性のための勉強会での講演資料
実施日: 2017年3月14日
実施時間: 60分
対象者:ITに関わる仕事をしている人たち
【講演資料】ITを知らない人にITを伝える技術
拙著「未来を味方にする技術」出版記念イベント
実施日: 2017年3月27日
実施時間: 30分
対象者:ITに関わる仕事をしている人たち
詳しくはこちらから
新刊書籍のご紹介
未来を味方にする技術
これからのビジネスを創るITの基礎の基礎
- ITの専門家ではない経営者や事業部門の皆さんに、ITの役割や価値、ITとの付き合い方を伝えたい!
- ITで変わる未来や新しい常識を、具体的な事例を通じて知って欲しい!
- お客様とベンダーが同じ方向を向いて、新たな価値を共創して欲しい!
斎藤昌義 著
四六判/264ページ
定価(本体1,580円+税)
ISBN 978-4-7741-8647-4Amazonで購入
人工知能、IoT、FinTech(フィンテック)、シェアリングエコノミ― 、bot(ボット)、農業IT、マーケティングオートメーション・・・ そんな先端事例から”あたらしい常識” の作り方が見えてくる。