「システムインテグレーションは大きな可能性を持っている」
1月25日発売の拙著「システムインテグレーション再生の戦略」では、その具体的な方法を整理しようと試みました。
一昨年出版した拙著「システムインテグレーション崩壊」では、このビジネスが、いま大きな節目にさしかかっていることを解説しました。そこでも指摘したとおり、人月積算に頼った収益モデルは、明らかな構造的問題を抱えています。これに加え、クラウドや人工知能の普及が工数業務を代替する流れは、ここに来てさらに加速しています。
その一方で、新たなテクノロジーの台頭は、これからのビジネスの可能性を大きく開こうとしています。しかし、それを漠然と「感じる」のではなく、具体的に「整理」し、どのように行動すれば良いかを示すことを本書は目指しました。そのため、執筆に当たっては次の3点に留意しました。
- 歴史的事実や数字的裏付けに基づき現状を整理し、その具体的な対策を示すこと。
- 身の丈に合った事例を紹介し、具体的なビジネスのイメージを描きやすくすること。
- 新規事業を立ち上げるための課題や成功させるための実践的なノウハウを解説すること。
机上の理論や精神論では行動は起こせません。実践に役立つ戦略や方法論でなくてはなりません。本書の狙いはそこにあります。
この狙いをカタチするために、大手SI事業者で現役営業としての第一線に立ちながら大学院で経営理論を学び、いまはベンチャー企業に転じて新しいビジネス・モデルを模索している「株式会社フレクト」の後藤晃とともに、本書を執筆しました。
また、時代を先取りする各社をインタビューさせて頂き、学ぶべき知恵やノウハウを聞かせてもらい紹介しています。その結果、よく分かったことがあります。彼らの知恵やノウハウは、お客様やこの業界を、あるいは世の中をもっとよくしたいという熱い想いを突き詰めた結果として、育まれてきたのなのだと言うことです。知恵やノウハウが先にあったわけではありません。本書はそんな彼らのパッションに触れ、自分を見つめ直す機会にもなると思います。
また、皆さんの実践を少しでも加速していだきたいという想いから、本書で使用する60枚のチャート全てをロイヤリティフリーにてパワーポイントのソフトコピーで提供しています。企画書作りや経営会議の資料として、自由にご活用下さい。
さて、こんな取り組みを通じて、まとめ上げたのがこの1枚のチャート「ポストSIビジネスの3つの戦略と9つのシナリオ」です。
本書は、このチャートを土台として、その具体的な進め方を解説しています。
「システムインテグレーションの大きな可能性」と言いながら、「ポストSIビジネス」というのは矛盾しているのではないかというご指摘もあるかも知れませんが、ここにはひとつの想いがあります。それは、「これまでの常識からの決別」です。
「SIビジネス」は、「収益モデルとしてのSIビジネス」と「顧客価値のSIビジネス」に分解することができます。前者は、「人月積算×完成責任(瑕疵担保)」です。これが、如何にSIビジネスの価値を毀損しているかは本書でも詳しく述べさせて頂きました。一方で、お客様の価値を高めるためにテクノロジーやプロセスの再構成を推進することを目指す後者は、これまでにも増してその必要性を増しています。ここにフォーカスし、新たな収益モデルを築くことが大切だと考えています。
SIビジネスというと「収益モデルとしてのSIビジネス」を思い浮かべる方が多いのではないか、ならばその常識と決別するという想いを込めて「ポストSIビジネス」という言葉を使っています。
このフレームワークが、ポストSIビジネスを完全に網羅しているとは言えないかもしれませんが、新たな施策を考える上での示唆は与えてくれるのではないでしょうか。
また、新規事業開発にありがちな誤りを示し、どのような体制や施策を行えば良いかを具体的に示しています。
SI産業は、過去に遭遇したことのない大きな変化の只中にあります。過去の延長線上には未来はありません。この変化に適応し大きく進化するには、SIビジネスに関わる一人一人が変化しなければなりません。そのスピードはますます加速しています。躊躇している余裕はありません。「いま」を逃せば、時代はますます遠ざかってゆくのです。
2016年から2017年にかけて、今の特需は消滅します。そのときの備えは、できているでしょうか。本書は、その答えを考える材料を提供できると思っています。
【最新版】最新のITトレンドとビジネス戦略【2016年1月版】
*** 全て無償にて閲覧頂けます ***
最新版【2016年1月】をリリースいたしました。
今月の目玉は、IoTと人工知能についての記述を大幅に刷新したことと、これからのビジネス戦略について、新たなチャート&解説を追加したことです。是非、ご確認下さい。
*全ての資料(529ページ)は全て無料で閲覧頂けます。
【インフラ&プラットフォーム編】(246ページ)
・見栄えや誤字の修正を行いました。内容の変更はありません。
【アプリケーション&サービス編】(199ページ)
*IoTと人工知能について、大幅に資料を刷新致しました。
IoT
・「IoTとは何か」を新規に追加しました。P.14
・CPS(Cyber Physical System)についての記述を追加、修正致しました。p.17-20
・自動運転車について新たなチャートを追加しました。p.23
・モノのサービス化について新たなチャートを追加しました。p.28
・IoTに関する事例動画を刷新しました。p.49-52
人工知能
・8ページの新規プレゼンテーションを追加し、全体のストーリーを変更しました。p.139-153
【ビジネス戦略編】(84ページ)
・「テクノロジードリブンの時代」を追加致しました。 p.3
・「ビジネスの変革を牽引するテクノロジートレンド」を2016年版に差し替えました。p.4
・「ポストSI時代に求められるスキル」を追加しました。p.5
・社会構造の変革に関する記述を追加しました。p.6-8
・「顧客価値と共創優位」を追加しました。p.9-10