「売上目標を継続的に達成し続けることができる力」
営業力をあえて定義すれば、このような言葉になるかもしれません。ラッキーではなく、自分の力で、どのような状況にあっても、営業目標を継続して達成し続ける能力です。
営業の仕事は、顧客価値の実現と引き替えに、売上や利益を獲得することです。また、同時に「顧客満足」の提供と引き替えに、顧客の信頼を獲得し良好な関係を維持することでもあります。このようなことができる能力を営業力と言います。
この営業力は、なにかひとつの能力に秀でているからといって実現できるものではありません。いろいろな能力の総合力です。例えば、プレゼンテーションがうまくできるから、あるいは、提案書がうまく書けるから、継続的に売上目標を達成できるというものではありません。
営業力は、人間力、知識、スキル、活動プロセス遂行力の4つの能力に区分することができ、それらの総合力が営業力を構成しています。
人間力
- お客様の「あるべき姿」の実現と、営業目標達成の両立を行う自律的行動力
- 目標達成の為に自ら立てた活動計画に沿って活動を遂行する能力
「あるべき姿」とは、お客様の言われるがままに何かをすることではなく、お客様の課題が何か、あるいはニーズが何かを理解し、真にお客様の幸せは何かを考えたときに行き着く理想の姿です。
この「あるべき姿」を実現することを、誰かにやらされるのではなく、自らの意志で、目標を達成することを楽しめる力ということができるかもしれません。また、人との係わりを楽しみ、人に好感を持たれることも必要です。このような能力は、営業固有のものではなく、広く社会人として求められる能力といってもいいでしょう。この能力を土台として、営業固有の能力を築く必要があります。
つまり、この「人間力」という土台がなければ、知識、スキル、活動プロセス遂行能力は育たないでしょうし、また、特定の能力に秀でていたとしても、営業目標を達成することはできません。具体的には、次のようなことができる能力です。
- お客様に好かれる
- 目標達成に強い意欲を持つ
- 目標意識を持って積極的に行動する
- 自分の役割を認識して責任を持って行動する
- 案件毎に行動計画を立案し、これに従って行動ができる
- 進捗段階に応じた業務が遂行でき進捗や結果を把握し、報告が出来る
- お客様/同僚との信頼関係を構築・維持できる
知識
- 営業活動を円滑に進めるための社会や顧客、自社や他社、ITや業務についての知識
お客様に相談され、頼られるようになることは、営業活動を円滑に進める上で、是非とも必要なことです。それには、「知識」がなくてはなりません。お客様の聞きたいことに応えられることも大切ですが、お客様が何を考え、何を必要としているかを推し量り、お客様が知りたいことを先んじて提供することや、お客様の話を聞いて、それを整理整頓し、どこに課題があり、何を必要としているのかを探り出せなくてはなりません。
自社の製品やサービスの知識だけでは不十分です。自分の関わるビジネス領域について広い知識、経営や業務、社会についての知識、自分が関わる専門領域についての深い知識が必要です。
営業ですから「プログラミング」の知識は必ずしも必要ありません。しかし、IoTとビッグデータとアナリティクスの関係を説明でき、それがどのような顧客価値を生みだすかを説明できる必要があるでしょう。具体的には、次のようなことができる能力です。
- お客様との会話を深める
- 戦略立案や提案策定の基盤とする
- 取引上の契約や手続きを円滑に進める
スキル
- 営業活動の効率向上や顧客満足度を高めるためるための技能
どんなに優れた知識があったとしても、それをわかりやすい資料に仕立て上げ、相手に応じた適切な説明ができなければ、仕事の効率は上がりません。心の機微にうまく対応して会話をすすめなければ、相手に不愉快な思いをさせたり、怒らせてしまったりするかもしれません。スキルとは、営業活動を効率よく、円滑に進めるために必要となる能力といえるでしょう。具体的には、次のようなことができる能力です。
- お客様との交渉を効率よく進める
- お客様との良好な関係を構築・維持する
- お客様を引きつけ、確実に伝える
- 営業活動プロセス遂行力
営業活動プロセスに沿って営業活動を遂行する能力
「営業活動プロセス」とは、案件を発掘し、確実に受注するために行うべき基本動作を時系列に沿って整理した行動リストです。営業活動プロセスを確実に遂行するためには、段階に応じて様々な能力が求められます。
- 課題から解決策を見つけ出す能力
- 案件を具体化し、実施・採用の条件を具体化する能力
- お客様と交渉を進め受注を獲得する能力
- 受注後のデリバリーを成功させるためにPMやパートナーを支援する能力
さらに、マネージメントもこの一連のプロセスが確実に遂行されるよう営業を支援しなくてはなりません。具体的には、次のようなことができる能力です。
- 案件ごとに活動プロセスに応じた行動を計画
- 活動プロセスの段階に応じた業務を遂行
- 活動プロセスの段階に応じた進捗や結果を把握
ここに紹介させていだいた能力は、理想的な「あるべき姿」をイメージしたものです。できていないからといって、悲観する必要はありません。むしろ、積極的に自社の現状に照らし合わせて、なにができていて何ができていないかを冷静に評価し、育成の糸口を考えてみてはどうでしょう。また、自社の現状をこのような視点で評価し、優先順位を決めて育成計画を立てられては如何でしょうか。
育成手段は、それぞれの育成すべき能力に応じて「研修」、「OJT(On the Job Training)」を組み合わせることが大切です。以下に能力の区分と育成手段の関係についてまとめて見ましたので、参考にしてください。
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目次
- 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン
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