「人間の魅力。それに尽きると思っています。」
クラウドを使ったシステム・インテグレーションやプラットフォームの構築を手がけるクリエーションライン株式会社・執行役員の鈴木逸平氏は、この会社の魅力について次のような話をしてくれました。
「大きな会社ではありませんから、他の会社ができることをやっても会社としての魅力はありません。だから、新しいことをどんどんやって、利益を出していかなければいけないんです。」
しかし、だれもがそんなことをできるわけではありません。
「新しいことができる人間とできない人間は、はっきり分かれています。だからできる人を集めることが大切なんです。」
そのために、海外のクラウドやオープンソース・ソフトウエア(OSS)に関する最新情報をいち早く日本語に翻訳し情報発信しているWebサイト「CL LAB」や、注目されているOSSの最新動向セミナー開催など、新しいことへの取り組みに積極であるというアイデンティティを発信し続けています。また、なによりも最新のOSSやクラウド・サービスを使ったシステム構築をいち早く手がけ、他にはできない存在であることをビジネスとして実証していることも「新しいことができる人間」にとっては、大きな魅力になっているようで、そういう人たちの採用に苦労はないのだそうです。
「これまでのITベンダーは自分たちの製品を人間力で販売してきました。しかし、OSSやクラウド・サービスは、販売などしなくても、それ自身の良さから利用者を増やしています。その良さを理解でき、説明でき、実際のシステム構築に活かせる人材を集めなければ、私たちのビジネスは成り立ちません。」
代表取締役の安田忠弘氏は、次のような話をしてくれました。
「2006年にこの会社を作る前は、ソフトバンクグループでADSLのビジネスに関わっていました。そのとき、”一点集中”が大きな成果をあげることを目の当たりにしたんです。会社を作ったときも、最初から何でもできるわけではありませんから、一点集中で日本ではあまり普及していなかったクラウド・プラットフォームであるEucalyptusに取り組んだんです。そんなことがきっかけとなって、POC(Proof of Concept:実証評価)の仕事やIPA(情報処理推進機構)からの受託事業を請け負えるようになりました。そういう実績を積み上げ、さらにはそれらを発信し続けることで信頼を築いてきました。」
OSSとクラウドへの期待と需要が益々高まるなか、このような信頼の積み重ねが、同社のいまの存在感を生みだしているのでしょう。
「私たちがご評価頂けるのは、ただ新しいことに取り組んでいるからだけではありません。例えば、通信キャリアの高い要求レベル(99.99%の可用性)を担保したシステム構築やエンタープライズ・クラウドを志向するIBM SoftLayerのインテグレーターなど、高い品質を提供できているのも私たちの強みです。」
しかし、このようなことが「できる人間」を前提としたやり方では、ビジネスをスケールさせることは難しいのではないでしょうか。
「ITの適用範囲はこれからも益々拡がってゆくと思います。しかし、人間が力仕事で関わるべき範囲は小さくなってゆきます。だから、新しいことができる人間を前提にビジネスをしていかなければ生き残ることは難しくなると思います。スケールさせることに興味がない訳ではありませんが、まずはこの点を大事にしてゆきたいと思っています。」
さらにこんな話もしてくれました。
「いまのSIビジネスは、あまりにもシステム化されすぎて時代のスピードに対応できなくなってしまいました。しかし、これまで手作業で3人月かかっていたシステム構築もパッケージングされたクラウド・サービスやOSSを使えば自動化できますから、あっという間です。それこそが、お客様の求めているものだと思います。」
そういう仕組みを提供してゆくことで、結果としてビジネスをスケールさせていけると考えているそうです。
「人間にしかできない創造(Creation)により、未来を導く(Line)こと。それが、わたしたちの使命であり、目指すべきところです。技術を極めていくことに飽くなき探求心を持ちつづける。いま、わたしたちの主軸であるクラウドも、ひとつの通過点だと考えています。技術の進化により、今後はAI(人工知能)も飛躍的に進化していくでしょう。ですが、人間にしかできないことにフォーカスをして、よりクリエイティブな領域に頭脳、能力を使っていきたいと思っています。」
ポストSIビジネスを考えるとき、とかく新しい技術やビジネス・モデルに目がいってしまいます。しかし、それを支えているのは人間の力です。そこにフォーカスすることで、ポストSIの時代を生き抜こうという彼らの取り組みから学ぶべきことは少なくないように思います。
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目次
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- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン