オープン化の時代を迎え、プラットフォームのコモディティ化が進んでいる。テクノロジーは、コンシュマライゼーションの流れの中で多様化し、その進化は加速している。PC中心の時代も終焉を迎え、インターネットは人々の行動と密着し、膨大なデータが行き交うようになった。
ITを取り巻く環境は、変化のスピードを速めたというような単純なものではない。人々の生活や価値観、仕事や経営のあり方を巻き込んだパラダイムの転換であり、あたらしい情報社会が出現しようとしている。
このような変化の中で、IT営業もまた、これまでのままでいいはずがない。お客さまのITへの期待は変わり、意志決定の基準はこれまでとは違ったものになっている。その変化をこれまでの延長と捉え、過去の経験と実績を頼りに力業で乗り切ることなど、もはやできない時代になっている。
どんな時代になろうとも、お客さまとの信頼関係は営業活動の基本だ。しかし、この変化の中で、その信頼関係の意味が変わろうとしている。
これまでの常識を置き換えてしまう様々なテクノロジーが世の中に出現している。クラウド、ビッグデータ、HTML5・・・大きなイノベーションであり、それは既存の常識に対する創造的破壊をもたらしている。そんな世の中の常識を理解し、お客さまのこれからの「あるべき姿」に対して、よき相談相手になっているだろうか。
これまで同様、お客さまのご要望に応え、QCDを誠実に守っているだけで、お客さまの満足を得られる時代ではない。
お客さまは、これまでの資産とテクノロジーの常識に縛られている。しかし、その一方で、TCOの増大、急激な経営環境の変化、グローバル対応などの大きなプレッシャーがかかっている。それに応えられない情報システム部門は、その存在意義を問われている。
「このままではいけない、何とかしなければ」・・・その危機感は日ましに増大している。お客さまは、その答えを模索している。
あなたは、そんなお客さまに答えを示せるだろうか。自分たちにできること、自社の製品やサービスのことだけを語っているだけで、お客さまに満足して頂くことなどできるはずがない。
「そんなことを言っても、うちにはそんなお客さまのニーズを満たせるようなサービスも製品もないんですよ」
もし、そういう言い訳しかできないならば、営業失格だ。お客様は、あなたにできるかどうかを聞きたいのではない。課題を解決するにはどうすればいいかを聞いているのだ。それは、自分たちができるかどうかの問題ではない。
自社の製品やサービスに関わらず、お客さまの良き相談相手になれるかどうかである。その上で、自分たちにできることできないことを語ればいい。
「しかし、そんなことを学ぶ機会を会社は与えてくれないし、忙しくてそんな時間はありませんよ」
電車の中でゲームをしたり漫画を読む暇があったら、本を読めばいい。就業時間の1時間前に出社してニュースサイトやIT系のメディアを調べることだってできるはずだ。本や雑誌は、いくらでも手に入る。
「できない」ではなく「したくない」という言い訳。勉強することに興味を持てないのなら、これからのIT営業は務まらない。
これまでに変化のない時代はなかった。だから、それに対処することが人生であり、成長であると言える。
IT営業もまた常に変化への対処を求められてきた。それは、お客様のご要望に誠実に応える営業から、世の中の常識を理解し、多様化する選択肢の中から最適な解決策を示すことができる良き相談相手として営業への変化である。
「そんなことは昔から何も変わっちゃいない」
そういう方もいらっしゃるだろう。しかし、これまでは、そうじゃなくても何とか営業は務まった。それだけ世の中に需要があったからだ。しかし、今はそうはいかない。ITはもはや成長産業ではなく成熟産業だ。そして、プレーヤー過剰の時代を迎え、競争に打ち勝つ力が求められている。これまで以上に営業の真価が問われている。営業という商品の価値が、勝敗を決する時代になろうとしている。
その備えができているだろうか。
■ 第11期・ITソリューション塾 を開講します ■
今日の記事にもあるように、ITビジネスやテクノロジーの最新トレンドを整理できないままに、お客様の良き相談相手にはなれません。
4年前、何とかできないだろうかと相談を受け、はじめた「ITソリューション塾」も第11期を迎えることになりました。営業やSE、情報システム部門の方、IT企業の経営者など、志の高い300人を超すみなさんが、呉越同舟・切磋琢磨の機会として、ご参加頂きました。
改めて、これまでの資料を見直しますとその変化のスピードを実感します。
さて、今回は新たに「データベースの最新動向」を追加しました。また、仮想化については、OpenFlowも含む“Software-Defined”という切り口から、整理しようと思っています。このふたつのテーマは、これからのITビジネスに大きく影響してきます。そして、業界の勢力地図を大きく書き換える可能性もあります。
詳しくはこちらから資料をダウンロードしてください。
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