みなさん、明けましておめでとうございます。
昨年は、毎週一回の投稿を目標としてきました。結果、54記事を投稿でき、目標達成です。
今年も、昨年同様に、毎週一回、ITを切り口に、ビジネスやトレンド、営業活動や組織のあり方、事業戦略に関わるテーマで投稿させていただこうと思っています。よろしくお付き合いのほどお願い申し上げます。
さて、今年の第一弾は、今年の「注目すべきITビジネスのキーワード」です。まずは下のチャートをご覧ください。
これまでも、Facebook上で「コレ一枚シリーズ」として、ITビジネスに関わるキーワードを一枚のチャートでお伝えすることにチャレンジしてきました。今回は、そこでも取り上げたキーワードや昨今のITビジネスの動向から、今年のビジネスを考える上で、押さえておきたいキーワードを整理してみました。
ビジネスがどういうモチベーションで動くのか、そして、どのようなキーワードが注目されるのかを考えてみたのが、このチャートです。
まず、ビジネスを動かす大きなモチベーションとして、「サービス化」と「コモディティ化」のふたつの軸が、あるのではないかと考えてみました。
そして、「サービス化」のモチベーションはクラウドへ向かうものと考えられます。一方、「コモディティ化」は、アプライアンスの普及を促すのではないでしょうか。
「クラウド」については、以前、このブログでも紹介いたしましたが、自らシステム資源を保有し、その能力や機能をサービスとして提供する「クラウド・プロバイダー」、クラウドプロバイダーの提供するサービスに付帯する課題、例えばデータの互換性やセキュリティなどを補完するサービスやプロダクトを提供する「クラウド・アダプター」、そして、プロバイダーやアダプターの製品やサービスを組み合わせ、お客様個別に最適化されたシステムを構築する「クラウド・インテグレーター」の3つのビジネス・タイプで展開されるものと考えられます。
もう一つのコモティティ化の軸は、様々なアプライアンス製品が使われることを示しています。
このふたつの軸を考えた背景には、情報システム部門の予算が、ここ十年で対売上比で半減しているということ、また、運用・管理などのTCOに関わるコストが7割りを越え、情報システムの戦略的、弾力的な活用に大きな制約がかかっていることがあるからです。つまり、従来のように、システムを所有し、インフラやアプリケーションを一から作り上げるというやり方では、もはや経営の要請に応えられなくなったためです。
確かに、スクラッチ・アンド・ビルドでシステムを作り上げる方が、自由度も高く自分好みには仕上がります。しかし、その余裕がもはやなくなりつつあるなか、このふたつのモチベーションの軸は、ビジネスを動かす大きなトレンドを作り出してゆくのではないでしょうか。
左下の「インフラ」から右上の「ユーザー」を結ぶ対角線上に、いくつかのキーワードを配置してみました。赤のキーワードは、今年特に注目すべきキーワードです。
OpenFlowとSDN(Software-defined Network)は、これからのネットワーク・ビジネスの考え方を大きく変える可能性があります。CiscoやJuniperが不動の地位を築くこの業界にあって、ネットワーク機器のコモディティ化を加速し、業界の構造を大きく変えるかもしれません。また、運用管理の簡素化・効率化が進むとともに、システム機器類の仮想化(サーバーの仮想化等)と相まって、システム・リソースは、「最適な場所を求めてネットワーク上を浮遊する」なんていう考え方も生まれてくるのではないでしょうか。今年直ちにビジネスになるとは思いませんが、3~5年のスパンでは、間違えなく大きな動きになってくるはずです。
ビッグ・データはすでに注目されていますが、私はこれを単に「膨大なデータを取り扱う枠組み」ととらえるのではなく、「新しいデータ処理の枠組み」と考えるのが妥当ではないかと考えています。
例えば、エクサバイトやゼッタバイトといった途方もない膨大なデータばかりでなく、ギガバイトやテラバイト程度の従来サイズのデータに適用すれば超高速なデータ処理の仕組みになります。例えば、バッチ処理の効率化からメインフレームが今でも不可欠となっていますが、これを安価なPCサーバーに置き換える手段になるかもしれません。もちろん、無条件に全て使えるなどとは思いませんが、適用範囲や要求水準を限定すれば十分に適用できるかもしれません。
また、Hadoopはその基本機能として、3レプリケーション機能を有しています。これを使えば、安価なPCサーバーをスケールアウトして、高速で安全なファイルサーバーを実現することも可能です。
もちろん、ビッグデータを処理すること自体のイノベーションにも期待が高まります。CEP、ストーリーミング処理などのリアルタイム解析、膨大なサンプルからの精緻な規則や関係の抽出は、これまでにはできなかったことです。ただ、このような「インテリジェンス」を取り出すツールとしてのビッグデータだけではない新しい可能性の方が、むしろ私達の日常のビジネスには影響が大きいのではないかと考えています。
Webアプリケーション/HTML5については、もはや言うまでも無いでしょう。Flashが今後第一線を退くことが既定事実となった今、Webアプリケーションはこの方向に動くはずです。先日、米国でIE6の終息宣言がリリースされました。このような動きを考えれば、もはや流れはこちらに向かうでしょう。確かに、HTML5の正式勧告が2014年であり、まだまだ流動的な要素はあるにしても、「トレンド」を考えるならば、この流れもまた既定事実として取り組むべきテーマです。
紫色のキーワードはその周辺に広がるサービスやテクノロジーです。ひとつひとつの詳説は省かせていだきますが、「マネージド・サービス」と「クラウド・セキュリティ」については、少し補足させていただきます。
まず、「マネージド・サービス」ですが、クラウドやアプライアンスの普及により、情報システム部門は、より上流に業務やスキルをシフトする方向に動きます。クラウドはシステムを持たないわけですから、運用業務は必要なくなります。また、オンプレミス・システムの運用は自動化やRBA(Run Book Automation)により、効率化進みます。すると、運用管理業務量は減ることになります。また、業務そのものがモチベーションを維持しにくいものでもあり、これをアウトソーシングするという考え方は自然なものでしょう。
この流れの中で考えておくべきは、「アプリケーションまで含めた運用管理」と24時間365日です。
システムの死活やネットワークの負荷、バックアップ・リカバリーだけではもはや差別化は難しく、アプリケーションに手を出せるかどうかは、大きな差別化の要因になるはずです。また、グローバル化の拡大、モバイル端末の普及に伴う常時接続は、これまでの業務時間内という考え方では対応できなくなるでしょう。このふたつは、マネージド・サービスの競合優位を決定するキーワードになるはずです。
クラウド・セキュリティとは、これまでのセキュリティの考え方を変えなくてはならないと言うことを意味しています。
これまで、オンプレミスを前提としたセキュリティは、企業の内と外の間にファイヤーウォールをもうけ、外部からの侵入や攻撃を防ぐ「境界防衛モデル」が基本でした。しかし、クラウドの普及は、「内と外」という概念が使えなくなることを意味しています。つまり、外部のサービスに対する信頼を担保する「認証」と信頼できる方法でデータの受け渡しを行う「暗号化」を基本とする「信頼連鎖モデル」を考える必要があります。「境界防衛モデル」が不要であるというのではなく、それだけでは守れなくなるわけで、新たに「信頼連鎖モデル」を組み込んだセキュリティの考え方を取り入れてゆくべきだと考えられます。
このチャートを作るに当り、他にも多くのキーワードを書き出してみました。そんななから絞り込んだものであり、偏りもあるかとは思います。しかし、私なりに、今年のビジネスの方向性は、整理できたように感じています。
年末にも書きましたが、「変化」を漠然と捉えても、戦略や施策は具体化させることはできません。もちろん具体化と言うには、このチャートだけでは不十分ではありますが、このチャートをご覧になったみなさんなりに、さらに深化させていただければと願っています。
2月から始める「ITソリューション塾」では、こういうキーワードのひとつひとつを深掘りし、より具体的なビジネス戦略や可能性についても整理してみようと思っています。
ことしも、どうぞよろしくお付き合いください。
■ 開催決定 * ITソリューション塾 第9期 ■
過去8期に渡り、多くの皆さんにご参加いただきました「ITソリューション塾」、その第9期を下記の日程で行うことが決定いたしました。
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毎週水曜日の 18:30-20:30
全10回開催
初回 2月8日/最終 4月11日
場所 東京・市ヶ谷
参加費 9万円(+消費税)
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毎回、すぐに一杯になりますので、もし参加をご検討の場合には、私のメールアドレスまたはFacebookにメッセージをお送りください。
ITの最新トレンドとビジネス戦略、ソリューション・ビジネスに関わる人が是非身につけたい顧客満足度の管理方法やドキュメンテーションなどの顧客応対スキルなどを体系的に整理します。
ITの最新トレンドとビジネス戦略については、社内やお客様の説明にそのまま使っていただけるように、パワーポイントのソフトコピーで差し上げます。ちなみに第8期では500ページほどになりました。
詳細のカリキュラムはこれからですが、例えば・・・
・クラウドとITトレンド
・ソーシャル・メディア
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などの最新トレンドとこれらに関わる業界の動向、そしてビジネス戦略などをできるだけわかりやすいビジュアルを駆使して体系的に解説します。
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