「わかりやすさ」とは、なんだろうか?自分なりに心がけていることをご紹介しよう。
まずは、「3」。これには、結構こだわっている。3つにまとめると、わかりやすい。
例えば、セミナーやブログのタイトルの場合は、「クラウドの3つの要件」、「顧客満足の3段階」、「売上拡大のための3つの原則」・・・
お客様との打ち合わせの出だしは、「本日、ご相談したいことは、次の3点です。まず一つ目は、・・・」・・・
何か相談をされたときの最初のひと言は、「それは、3つの理由があると思いますよ。例えば、・・・(3つの理由がそのとき思い浮かばなくても、まずそう切り出して、話しながら考えます(笑))」・・・
「2」では、どうも足りない感じ。「4」では、多すぎる。どうしても、「3」に収まらなければ、「5」にすることで、何とか落ち着かせている。「5」は、次善の策としては、ありですね。
なぜなのか、理由はわからないのだが、「3」は、とても落ち着き、すっきりと記憶に定着する。
話しを聞いて、物事を理解しようとするとき、人はまず、この人は何を言おうとしているのだろうかと、自分なりに目次を作る。つまり、話しを受け入れる引き出しを用意するということ。
そして、その目次に従って、話が進むと、その都度、その引き出しを開けて、話しをそこに収めててゆく。そうすると、非常に安心感があり、難しい話でも、記憶に残りやすい。
その記憶の引き出しの数が、「3」なのではないかと、私は、考えている。
次は、「結論は、最初」。理由や背景は、「結論」の後に追加する形。
例えば、提案を説明するとき、「これは、御社の運用コストを1/2に削減するための提案です。具体的には、・・・」・・・
トラブルに際して、「なんとしてでも、30分以内に復旧したい。どうすればいいだろうか?」・・・
見積りを依頼するときは、「50万円の予算しかありません。その範囲で、できることをご提示いただけませんか?」・・・
結論に魅力があれば、理由を聞きたくなる。しかし、結論に魅力を感じなければ、話しを聞いても時間の無駄。そう思いませんか。
あなたがユーザーで、営業が、商品の説明に来たと思ってください。理由や背景を、ぐだぐだと最初に語られると(自己紹介が長いのもうんざりですが・・・・)、「・・・で、結論は、何なんですか?」と言いたくなりませんか?
結論を後回しにしているときは、自信がないか、相手を騙そうとしている、そう思っても、いいかもしれませんね。
結論が最初に見えない話しは、不安なんですよ。その不安が、相手の思考に雑音を与える。雑音が多いから、相手の話の要点が、すんなり理解できない。つまり、わかりにくいということになる。
最後は、「美しさ」。たとえ同じ内容でも、美しくなければ、見たくないし、聞きたくない。
先日、ある自治体の新庁舎建設に当たり、LAN工事の提案コンペがあった。その審査を任された。いくつかの評価基準を作り、それに対応して評価した。予算や要件は、詳細にRFPとして事前に提示されている。最終的に3社に絞り込まれたのだが、見事に機器構成や作業内容は、同じである。当然といえば当然なのだが、実によくそろっている。
しかし、決定的な違いがあった。あるベンダーの提案資料だけが、実に「美しく」作られていた。
表紙のデザイン、各ページのレイアウトやフォントの統一、美しくわかりやすい図表、要約(結論)、概要、詳細へと展開される目次構成・・・メリハリが利いていて、とてもわかりやすいドキュメンテーションだった。この営業さんは、きっと私の研修に参加したに違いない(笑)と思うくらい。
こうなると、気持ちは、この提案に傾いてしまう。「内容で判断する」の原則は、意識していた。しかし、他社の「内容」の些細なアラが、どういうわけだか、気になってしまう。それが心情というものだ。
評価項目に「ドキュメンテーションのわかりやすさ/美しさ」という項目はなかったが、結局は、美しい提案書を提出したところが、最高点となった。
しかし、これには、明確に理由がある。見た目が美しいということは、相手にできるだけ負担をかけず、訴求点や仕事の内容を間違えることなく、確実に伝えようという態度の現われと見る。つまり、相手の立場を慮っての行為であり、こちらが仕事をお願いするに当たり、双方のコミュニケーションがうまく行くであろう事が期待できる。
これは、一緒に仕事をする相手の条件として、ととも大切なことなのです。
「わかりやすさ」とは、相手への思いやり。自分が伝えたいことではなく、相手が知りたいことを伝えること。相手がどう思うか、どう感じるかを想像し、それに対処することなのです。
伝えたという自分の満足ではなく、伝わったという相手の真実が大切です。つまり、相手への思いやりの気持ちが、「わかりやすさ」の心なのだと思います。
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