三ヶ月、12回を重ねたITソリューション営業塾が、先週終了した。
この営業塾は、毎週火曜日の夜、18時30分から20時30分までの2時間、「お客様の話がわかる、お客様にわかりやすく説明できる」をテーマに、営業として理解しておくべき最新のITトレンドやそれにまつわる社会の動きについて解説した。
「広く、浅く、たくさんの」知識は、お客様との会話や提案活動を行う上で、無くてはならないもの。
世の中に、ひとつのテーマを取り上げて、深く徹底的に行う研修はあるが、たぶん、「広く、浅く、たくさんの」という講義は、めったに無いだろう。また、技術の解説だけではなく、ビジネスとしてどう取り組めばいいのかという、営業の視点からの解説となると、まず世の中に無いだろうとも自負している。
ご参考までに、この12回で行った。テーマをご紹介しよう。
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■ 提案に欠かせないキーワード:IT営業の常識(60分)
- クラウド・コンピューティング
- 仮想化
- オープン・ソース
- ネットワーク・セキュリティ
- メインフレーム
- 暗号化
- 仮想ストレージ
- セキュリティ・スタンダード
- SOA
- ITIL
- 国際会計基準
- グリーンIT
■ 最新のITトレンド(30分)
- Ajax と最新 Web ブラウザー
- Rich Internet Application と Rich Client
- Web ブラウザーの仕組み
- Windows7
- iPhoneと日本の携帯電話(1)
- iPhoneと日本の携帯電話(2)
- One Laptop Per Child
- Google ChromeOS
- Windows Azure
- HTML5
■ ITソリューション営業スキル(30分)
- 交渉を有利に導くMETS理論
- 顧客満足の科学
- 説得の科学
- セールスコーチング
- セールス・プレゼンテーション
- 今年は何を売ればいいのか?
- 売上を伸ばす技術(1):勝率を高める
- 売上を伸ばす技術(2):期間を短くする
- 売上を伸ばす技術(3):単価を上げる
- 権限委譲で部下を育てる
- ソリューション営業のこれから
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説明に使ったプレゼンテーションは、パワーポイントのソフト・コピーで参加者に差し上げた。どこかで、この資料が使われているのを見てみたいものだ。
この研修について、あるソリューション・ベンダーの社長にご案内したところ、「とてもいい取り組みだと思いますよ。ただ、うちには、それぞれに専門家がいるので、やらせますから、必要ありません。」というご返事をいただいた。
しかし、ひとつのテーマを1時間に要点を抑えてまとめ、しかもわかりやすいグラフィカルな説明資料まで作るとなると、これは相当に手間のかかる仕事だ。これを他の仕事を持つ社員に、片手間で任せられるだろうか。この会社で、同様の研修を始めたという話は未だ聞こえてこない。
専門家じゃないからかもしれないが、私の場合は、営業塾の開講期間中は、平日の夜、土日をほとんどつぶしての準備となってしまった。改めて、「広く、浅く」かつ、要点を抑えた資料を作ることの難しさを痛感した。
しかし、そのおかげで、参加者以上に私のほうが、勉強させていただいた。心から、大変感謝している。
参加者から、こんなご感想を頂戴した。
「いままで、言葉が上滑りしていて、腹に落ちていなかった。自信を持って説明できるまでには、まだまだだが、お客様の話を聞くことに不安が無くなった。」
ありがとうございます。そういっていただけることが、何より幸せです。
クラウドの時代、ますますモノ、ヒトが売れなくなる。また、コンピューターの仕様も性能の似たもの同士で競い合うだけのビジネスは、結局は価格競争になってしまう。
そんな中で何に付加価値をつければいいのだろうか。結局は、営業力、あるいは、営業の個人力が、差別化のポイントととして大きなウエートを占めることは間違えないだろう。
毎週、宇都宮から通ってきていただいた方、自腹で参加された方。そんなみなさんの熱い思いに支えられて、何とか完結した営業塾。
参加された皆さんにどれだけお返しできただろうか。ただ、前向きな人たちと過ごすことで、私自身も、お互いも、大いに啓発されたことだけは、間違えないだろう。
この研修は、9月から再びスタートしようと考えている。また、2日間に短縮して、企業向けの個別研修も用意した。よろしければ、ご検討ください。