先日、米国から帰省していた娘夫婦(夫は、米国人)が、帰国した。
彼女は、3姉妹の長女。彼女の夫と、妹二人、そして、運転手の私が、成田まで送った。そこでちょっとした事件があった。
予約していた成田-ソルトレイク・シティ(ユタ州)への直行便が、キャンセルになったという。これは、一日一便しかない。聞くと、バードストライク(鳥がエンジンに飛び込む事故)で、修理が必要なためだという。
そこで、航空会社の窓口の方は、必死にフライトを探し、なんとか別会社のサンフランシスコ経由便を確保してくれた。ところがである。このフライトには、マイレッジがつかないという。
貧乏学生夫婦である二人は、マイレッジを貯めて、日本への帰国に使おうと考え、多少高いことを承知で、このフライトを選んだという。納得できないマイク(彼女の夫)は、「これは、そちらの都合であって、こちらには一切の非は無い。にもかかわらず、マイレッジがつかないとは、許せない。何とかするべきである。(英語なのでよくわかりませんでしたが、たぶんそういうことのようです)」とカウンター越しに交渉している。しかし、担当者は、申し訳ないの一点張り。
ついに、マイクは、「マネージャーと話をさせてほしい。」と切り出した。そして、交渉の末、マイレッジを獲得してしまったのだ。交渉は、30~40分かかっただろうか。待ってるこちらの身にもなれよ・・・といいたいところだが、彼らには切実な問題。あっばれ!である。
さて、今度は、乗り換えることになった航空会社で、発券、チェックインの手続きをしなくてはならない。そこで、今度はちょっとだけ、悪知恵を授けた。
「大変なことになった。とんだ迷惑である。御社に変更してもらったのはいいが、予定より、4時間も余計にかかってしまう。本当に参ったよ。こういうときは、アップグレードなんて、してもらえないんですか・・・?とだめもとで聞いてみなさい。」と・・・
なんと、エコノミーから、プレミアム・エコノミーにしてもらえたらしい。災い転じて、福となすである。
別に、こんな身内の話はどうでもいいのだが、私は、改めて米国人の交渉力に感心した。若いころから、交渉は当たり前、理を尽くし、時には感情を交えて、きちんと自分の主張をする。
ハンサムで温厚な好青年のマイクであるが、いざ、ビジネス(彼ににとっては・・・)となると、タフな交渉にもひるまない。幼いころから、学んできた、というか、それが当然の生活習慣のなかで、育ってきたのだろう。
ビジネスは、ますますグローバルになっている。われわれ日本人は、こんな連中と、渡り合わなければならない。「きっと相手も意を汲んで、対応してくれるはず」は、通用しないのだろうなぁ。
翌朝、娘からメールが届いていた。無事帰国したとの知らせ。しかし、そのタイトルは、「日本に着きました!」。
親ですから、日本人ですから、あなたの気持ちは良くわかります。しかし、あなたは、海外で生活しているんでしょ。そんなことで、いいのですか?
親として情けない限りである。