お客様にご満足いただけることほど、営業冥利に尽きることはありません。では、どうすれば、お客様にご満足いただくことができるのでしょうか。この点について、今日は掘り下げてみようと思います。
「お客様の満足度は、事前の期待とのギャップの大きさに比例する。」
例えば、システム導入の結果として、100万円の利益が出たとしましょう。もし、皆さんが、お客様に「このシステムを導入すれば、80万円の利益が出ます」とお伝えしていたのなら、お客様は、20万円得した気持ちになります。
一方、「120万円の利益が出ます」とお伝えしていれば、20万円損した気持ちになるはずです。お客様にしてみれば、「約束違反」、「このシステムは使えない」という非難や不信感にもつながります。
このように、お客様の事前の期待が、お客様の満足度に大きく影響を与えるわけであって、決して絶対額の大小やずば抜けた性能や機能が、すなわちお客様の満足とイコールではないのです。
つまり、お客様にご満足いただくためには、お客様の事前の期待を明らかにし、その期待に到達するか、それを超えることが必要なのです。
それでは、お客様の事前の期待とは、何かということですが、次の3つのレベルに区分することができます。
1.基本的な期待
2.潜在的な期待
3.想定外の期待
1.基本的な期待
当然してくれるであろうこと。あるいは、必要つ十分な要件を満たしてくれるであろうという期待です。
例えば、お客様が、ノートPCx100台の購入を営業に依頼する場合、お客様営業に次のような期待を持ちます。
- こちらの必要を理解した上で最適な構成を提示してくれる。
- いままでの値引きを考慮した見積もり金額を提示してくれる。
- 通常の納期(例えば、2週間以内)に納品してくれる。
などの期待を持ちます。この期待に応えることは、お客様から見れば当然のことであり、この期待をみたすことが、お客様と関係を維持する最低限のレベルとなります。
2.潜在的な期待
やってくれなくても目的は達せられるが、もしそうしてくれれば嬉しい。あるいは、明示的に要求はしていないが、やってくれれば、ありがたいといった期待です。
例えば、次のような期待が考えられます。
- すぐ翌日に見積書を持ってきてくれる。
- 来月出荷予定の新機種を先取りして納品してくれる。
- 通常よりも短納期で納品してくれる。
- いつもの値引き額よりもさらに値引きしてくれる。
- 当初想定していた導入効果をできるだけ上回ってほしい。
などです。このレベルの期待は、基本的な期待に比べて明示的ではない場合があります。つまり、お客様が、はっきり言わない場合があるのです。ここで、あまり気を回しすぎてしまうと、「余計なおせっかい」になりかねません。
この期待を探ることは、営業活動の大切なポイントです。このレベルの期待に応えられれて、初めてお客様にご満足いただけるのです。
3.想定外の期待
お客様が本来期待していなかったこと。あるいは、そこまで期待していなかったことです。こうなるであろうとお客様が期待していたことを越えて、それ以上の効果やメリットを示すこと。つまり、期待を超えることを意味します。
例えば、PC100台の理由が、コールセンターの受注能力を現行100人から200人に引き上げることが目的であるのならば、PC100という手段以外でも、もっといい方法があるかも知れません。例えば、次のようなケースです。
- CRMシステムの導入し、現行要員で倍の能力を発揮できるようにする。
- 電話ではなく、Webで受け付ける仕組みにして、要員を減らす。
- 業務を外注し、固定費ではなく変動費として吸収する。
などです。もちろん、お客様も十分に検討したうえでのPC100台であれば、潜在的期待まででもお客様に十分な満足を与えることができるかもしれません。
しかし、お客様が、事前に期待していなかったことで、さらに魅力的な提案が示されたならば、お客様の満足はいっそう高まります。サプライズといわれるものです。
「基本的な期待」、「潜在的な期待」、「想定外の期待」へと段階を進める毎にお客様の満足度は、高まってゆきます。
あなたは、お客様のどのレベルの期待に応えているでしょうか。もし、「基本的な期待」に応えるだけのレベルにとどまっているならば、お客様は、満足していないと考えるべきでしょう。少しでも、上のレベルを目指してこそ、お客様の満足度を高めることができるのです。