「伝えたという自分の満足ではなく、伝わったという相手の真実が大切です。」
以前にも紹介した言葉ですが、営業にとってコミュニケーションは、大切なスキルです。このコミュニケーションのスキルを磨くためには、次の3つの能力を磨く必要があります。
1.想像力
2.言葉力
3.表現力
1.想像力
コミュニケーションとは、相手と自分との相互関係です。言葉を介した考え方の交換、キャッチボールと言い換えてもいいでしょう。そんな関係を築くことだとも言えます。
そのためには、何よりも先に相手のことを理解しようとする努力が大切です。
事前に十分な情報を調べ、相手がどのような課題を抱え、何を期待し、何をあなたにして欲しいと望んでいるのかをあなたなりに考え、仮説を立てて相手に向かうことが必要です。
また、相手の話に耳を傾けながら、相手が何を伝えたいのか、注意深く考えることも必要です。
あなたのたてた仮説は、相手の話を理解し、整理するための枠組みとなります。その仮説に当てはめ、比較しながら、話を聞きき、相手が何を伝えたいのかを想像することです。そして、あなたの疑問やあなたなりの考えを相手にぶつけながら、その応答を聞き、さらに想像をふくらませる。そんな繰り返しを重ねながら、相手を常に理解しようと努めることが大切です。
残念ながら、自分が相手になりきることなどできません。相手の気持ちを完全に理解することなど不可能です。また、相手の考えや気持ちは、常に変わります。だからこそ、想像力を維持し続け、その時々の相手を理解しようと努めなければならないのです。
このような想像力こそが、まずはコミュニケーションの出発点といえるでしょう。
2.言葉力
「今月検収予定の山田工業のプロジェクトだけど、予定通りだいじょうぶだろうね?」
という営業課長の質問に、部下の新前営業A君は、
「いゃー、マジ、ヤバイっすよ。前田部長から、仕様の見直しはいっちゃって。ボク的には、検収だけでも何とかお願いしようとはおもってるんですけど・・・」
いかがでしょうか。あなたは大丈夫でしょうか。問題があることはわかりますが、いったいどういう状況にあるのか、対応可能なのか、これではよくわかりません。なんといっても、貧相な語彙の羅列は、ビジネスマンとしての良識を疑います。
みなさんなら、きっと次のように答えられるでしょう。
「少々問題があります。前田部長より仕様見直しのご依頼があり、とのように対応すべきか、SEと検討をすめているところです。仕様の変更をお受けするにしても、検収だけは、なんとか今月末までにご了承いただこうと、私からお願いするつもりでいます。どちらにしても、早急に対応するつもりです。」
どちらがビジネスの現場でふさわしい会話かは、言うまでもありません。
お客様から電話がかかってきました。
「吉田専務は、いらっしゃいますか。」
確認をしたところ、吉田専務は不在でした。そこで、新前営業のA君は、
「吉田専務は、いらっしゃいません。」
こんな返事をしてしまいました。敬語の正しい使い方がまったくわかっていないようです。
「申し訳ございません。(専務の)吉田は、只今不在にしております。」
とすべきです。残念ながら、A君のようなご返答をいただくケースは少なくありません。
営業のことを英語で、sales representative と言います。representativeとは、代表者、代理人という意味です。会社を代表するものという意味があります。
言葉の使い方ひとつで、相手の知性や品格を判断されます。お客様が、自分にふさわしくない知性や品格の持ち主であると思ってしまえば、お客様の心には高い壁ができてしまい、その先を進めることは出なくなってしまいます。
コミュニケーションを円滑に進めたいのなら、ビジネスにふさわしい言葉力を身につける必要があります。
・・・ 表現力については、次回。
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