お客様の課題を探るための会話の進め方について、考えてみようと思います。
お客様との会話をなるほどと聞くことも大切です。ただ、それだけでは、得られる情報は、薄ペラなものになってしまいます。お客様と相互にキャッチボールすることで、お互いの理解が深まります。そういう関係が出来てこそ、お客様の状況や課題をより深く知ることができるようになります。
それよりも何よりも、以前このブログでも書きましたが、お客様との会話を通して、お客様自身が、自らの状況や課題に気づき整理することができます。そのよう場を演出するのが、ソリューション営業の役割でもあります。
わたしは、以下の3点を心がけています。
まず最初は、「ツッコミどころを探す」です。
「これについてはどうなんですか?」、「でも、これでは、こうこうことにはなりませんか?」、「じゃあ、さっきの話との関係はどうなんですか?」とあえて、お客様の話の疑問点を指摘したり、反対のことを言ってみることで、お客様に揺さぶりをかけてみることです。このことで、お客様が、あえて話さなかったことや、言いそびれたことなどを、お客様から引き出すことが可能になります。
次は、「まとめる」です。
「ということは、こういうことなのですね?」、「今までのお話を整理してみると、・・・」と今までの話の筋をあなたなりに整理し、簡潔に相手に伝えてみることです。
お客様は、それによって改めて自分の話したこと、考えていたことを整理する機会を得ます。お客様が、それを補足や修正をする。あなたは、さらにそれについて、質問をする。このようなやりとりを通じて、お客様自身の考えが整理され、より明確に状況や課題が明確に意識されるようになります。
最後は、「プチ提案」です。
「こういうふうに、仕事の進め方を変えてみてはどうでしょう?」、「A社さんは、こんな取り組みをされていますが、御社でも取り組まれてみてはいかがでしょう?」、「我が社でこんなお手伝いが出来ますが、ご検討されてみませんか?」などをお客様にぶつけてみます。うまくゆけば、そこから案件の糸口が見つかるかも知れません。
ここで注意しなければならないことが、三つあります。
まず一つ目は、決して「プチ提案」を最初にしないことです。お客様自信が状況や課題を理解できない限り、「プチ提案」は、お客様の琴線に触れることはありません。
もう一つは、出来るだけ多くのお客様について情報を事前に手に入れ、あなたなりにお客様の想像を巡らせ、仮説を持ってゆくことです。こういう準備があればこそ、ツッコミや整理は、当を得たものになり、お客様は会話にのめり込んでくるでしょう。
三つ目は、「プチ提案」は、基本的には会話の進展に応じて、その場で行うことが原則です。ただ、何をプチ提案するかについて、あらかじめメモや簡単な資料を用意しておくといいでしょう。それを使うかどうかは、話の成り行き次第です。仮説ですから、正しいかどうかは解りませんし、会話を進めてゆく課程で、もっといいアイデアが浮かぶかも知れません。あるいは、お客様から、「これについて、提案してくれないだろうか」と水を差し向けられるかも知れません。押しつけの提案ではなく、お客様との会話を通じて、一緒に考える。それが、「プチ提案」の基本です。
ここで、それならばということになれば、あらためて資料をまとめて、お客様に提案するといった手順を踏むことがいいのではないでしょうか。
大仰な提案書を用意して、お客様にアプローチするだけが、提案活動ではありません。お客様との普段の会話の中に、いつも提案の機会を探る。そういう普段の心がけが、案件の糸口を見つけることにつながります。