「10倍なんて、あり得ませんよ。理屈は分かりますが、そんなの非現実的ですよ。」
昨日のブログをご覧になって、そう感じられた方もいらっしゃるのでは、ないでしょうか。これについて、もう少し掘り下げてみようと思います。
ギャップ・フィル・プランを目標値の10倍に設定すると、昨日のブログに書きましたが、もう少し正確に言えば、オポチュニティを予算に対して10倍持つべきということです。
この前提には、「歩留まりを考慮したフォーキャスティング」という考え方があります。
皆さんは、営業ですから、当然予算(ノルマ)をもたれていることと思います。その予算が、果たしてどの程度読めるかとなると、確度の高いものから数字を積み上げて、見通しを立てられると思います。
しかし、案件は、どれも必ずしも同じ確度ではありません。今月確実に受注できるものもあれば、とりあえず話はあるようだが、予算も何も決まっていない。あるいは、火のないところにこれから仕掛けて、火をつけようなどと考えているものもあるはずです。
それらの数字を同じに扱い、足し算してしまうと、まったくあてにならないフォーキャストの数字ができあがってしまいます。それをマネージャーが、鉛筆をなめながら、数字を調整する。そんなことを未だに続けられているとすれば、営業マネージャー失格(?)です。是非「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」にご参加して、鍛え直して下さい(笑)。
・・・ とまでは言いませんが、このようなやり方に合理的な根拠はありません。そこで、次のようにフォーキャストを考えるわけです。
- 各案件の進捗状況に応じ、どの段階にその案件があるかを決定する。
- 進捗段階に応じて歩留まり率を設定する
- 案件の金額と歩留まり率を掛け合わせた数字をフォーキャストの数字とする。
例えば、お客様社内で、すでに契約事務手続きが進んでいて、一両日中に確実に受注出来る1000万円の案件であれば、歩留まり率:100%として、フォーキャストの数字は、1000万円とします。
一方、話だけはあるが、まだどうなるか全く読めないオポチュニティ段階の案件については、歩留まり率:10%とし、その見通しが1000万円であれば、100万円としてフォーキャストを計上します。
つまり、通常これを同列に扱い足し算すれば、1000万円+1000万円=2000万円となります。一方、歩留まりを考慮した場合は、1000万円+100万円=1100万円としてフォーキャストするという考え方です。
こう考えたほうが、より現実的であるとともに、なによりも「なんとか数字を積み上げた感」を抱いて、そこに満足してしまい、営業が思考停止に陥らないためにも、この方法は大変有効です。
ここで、課題となるのは、何を基準にして「進捗段階=歩留まり率」を決定するかと言うことになります。これは、研修にて詳細にわたり、ご説明するとともに進捗評価ツールをご提供していますが、簡単に申し上げれば、営業活動プロセスを木目細かく定義して、どの段階まで営業活動が進んだかを評価することが不可欠です。
この点を曖昧にしておくと、せっかく歩留まり率を設定してフォーキャストの数字を作っても、精度を上げることはできません。
話を「10倍に設定する」に戻しますが、これはあくまでも私の経験則ですが、オポチュニティ段階にある案件は、それが最終的に成約に結びつくケースは、10%程度という前提があるからです。この判断基準については、研修でチェックリストをご提供していますが、いくつかの事項を確認することで、オポチュニティであるかどうかを判定します。
つまり、ギャップ・フィル・プランという、「これから仕掛けて、数字を生みだそう」という段階、つまりオポチュニティ段階の案件な訳です。従って、10倍に設定しておかなければ、その数字に実効性を持たせることができないという考えに基づいています。
このように、フォーキャストに際して、歩留まり率を考慮して考えると、虚構のフォーキャストに隠れた本当の姿が見えてきます。この真の姿を冷静に見つめてこそ、合理的な営業戦略やアクションプランが策定できるのです。
虚構に惑わされては、行動を誤ります。そのためにも、歩留まりを考慮した真実のフォーキャストを受け入れる厳しさと冷静さが必要ではないでしょうか。
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案件金額と営業プロセスの進捗度にもとづく「歩留まり率」による数値管理は、まさに営業パイプラインの考え方ですね。
組織営業には欠かせないツールではないでしょうか。
Salesforce.comや、SugarCRMにも上記の機能がありますしね。
案件の営業プロセスのステージがあがると数値もあがるので、担当者の張り合いも出るのではないでしょうか。