昨日、ブルーシフト(BlueShift)という会社を訪問した。この会社は、ふたりのアメリカ人作った会社で、米国の企業が、日本で商品販売するための仲介や立ち上げを支援することや、一次代理店として販売チャネルに製品の提供やテクニカル・サポートを提供している。
また、もうひとつの仕事の柱として、中堅・中小企業(SMB)を対象としたデータのオンライン・バックアップやアーカイビング・サービスを提供しており、これがこの不況にもかかわらず売り上げを伸ばしているということだった。
なるほど、考えてみれば、バックアップやアーカイビングされるデータは、増えることはあっても減るこてとはない。不況になっても影響を受けることは少ないのもうなづける。しかも、SMBが対象となれば、データ量もさほど多くはなく、ネットワークを介してもさほど問題にはならないという。今までテープ保管していた企業にとって見れば、その管理、運用のためのコストや保管スペースを削減できるメリットは大きく、需要は伸びているとのことだ。
ストレージコストは、今後も下がり続けるだろう。そうすれば、顧客数の拡大に伴うスケールメリットとの相乗効果によりサービス提供のための原価も低減できる。なかなか、うまいビジネス・モデルだと感心した。
今後、ますます企業の「体質強化」を志向する動きが拡大する状況を考えれば、情報資産の保全もひとつのテーマになることは間違えない。しかも、同じ場所ではなく別の場所にデータを保管するというのは、リスク分散の鉄則である。そんな狙いが当たったのだろう、関東だけではなく関西のお客様からの依頼も増えつつあるとのこと。
もうひとつ注目したのは、このサービスに暗号化を組み合わせているところだ。彼らは、暗号化のためのアプライアンスを取り扱っているが、それを組み合わせることで、暗号化されたデータで、転送や保存をしている。これならば、データの盗難や盗聴のリスクは回避できる。
お客様の運用の手間やコストを削減し、しかも暗号化によって安全も担保する。かれらは、このサービスをSaaS (Storage as a Service) と呼んでいるが、なるほどうまい名前をつけたものだと思う。
このサービスには、小さな会社であるが故の知恵と工夫がある。単にアプライアンス製品を販売するのではなく、お客様の便宜を視点に、製品とサービスを組み合わせ、独自の開発も織り交ぜながら、このサービスを提供している。
オンライン・バックアップやアーカイビングだけならほかにもある。しかし、暗号化機能を加え、特別なバックアップ・システムを使用せず標準のバックアップ機能に対応するなど、かれらなりの工夫があり、独自のサービス商品に仕上げている。
ストック・ビジネスへのシフトについては、このブログで何度も書いているが、このブルーシフトのサービスもそんな時代の流れに乗った好例といえるだろう。