「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」の講師として、大阪に行ってきました。大阪の暑さは格別です。これは、日差しの強さだけてはありません。驚いたのは、蝉の鳴き声。朝、研修会場へ向かう途中、新大阪駅の直ぐそばを通るのですが、駅前の公園に植えられた木々や街路樹に群がる数千、いや数万匹もいるかもしれないアブラゼミが一斉にジィー、ジィーと鳴いているのです。木のそばを通るときなど隣の人と会話ができないくらいです。暑いぞ、暑いぞ、ど~やねん!とたたみかけてくるようです。
当然ですが、別にそんな木の下で講義をしたわけではありません。冷房の効いたビルの中で、気持ちよく仕事をさせて頂きました。
今回は、15名にご参加頂きました。大阪だけではなく、和歌山、奈良、岡山、福岡など遠くからもご参加頂きました。ほんとうに有り難うございました。
お話を伺うと、「上司に行ってこい」と言われ、いやいや(?)ご参加いだいた方もいらっしゃるようでした(笑)。さて、そんな方に「もうけもんや」と思って頂けたでしょうか。そんな裏切りもまた講師の楽しみのひとつです。
ところで、IT系の企業を見ると、SE系の技術研修はきちんとやっていても、営業研修をやったことがないというところも少なからずあるようです。
また、営業研修といっても「地獄の特訓」じゃないですが、モチベーションを上げることを目的としたものやプレゼンテーションや交渉術と言った「対人応対スキル」に重点を置いた研修なら参加したことがあるという方はいらっしゃるようです。
営業は、人を相手にする仕事です。だから、生まれ持った才能やセンスがなければ、営業には向かないという誤った考えが未だにまことしやかに語られています。こういう話を聞く度に、わかっていないなぁと思います。
確かにセンスは大切です。営業らしい雰囲気とか、好感が持てるといったことは、ないより有った方がいいとは思います。しかし、それは、せいぜい営業という仕事の味付けの部分であって、本質ではありません。
「SE経験が長くて、営業センスがないんです。」、「CEを長くやっていました。仕事のしかたがよく分からなくて困っています。」と言っていた方が、今ではその会社のトップ営業としてなくてはならない存在になっています。
「営業力」という言葉をよく耳にします。
「営業力」=「営業スキル」X「意欲(モチベーション)」X「経験」
これが私なりの定義です。また、
「営業スキル」=「対人対応スキル」+「営業プロセス・スキル」
と私は考えています。
いくら意欲を高めても、いくら経験を積んでもスキルがなければ、営業力はつきません。また、スキルについても、とかく「顧客対応スキル」=コミュニケーションや交渉に関するスキルに注目されがちですが、それだけでは不十分です。「営業プロセス・スキル」=「営業という仕事をとのようにこなせばいいのかという基本的な知識や営業プロセスを自分でコントロールする能力」がなければ、営業力を高めることはできません。
気合いと根性で試行錯誤型=行き当たりばったり型で仕事をしても、要領よく、効果的に、確実な目標達成できる=まともな営業の仕事はできません。
私はSEさん同様、営業の仕事もエンジニアリングで考えられると思っています。営業の仕事は。決してKKD(経験と勘と度胸)ではありません。お客様が商品や提案内容に関心を持ち、検討し、稟議を起案し、決裁する。その一連の意志決定のプロセスに合わせる形で、営業がやるべき仕事の手順を定義することができます。これが営業活動プロセスです。
「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」では、そのことを学んで頂きます。
あらかじめ仕事の手順が分かり、どこにチェック・ポイントを置き、何を評価すればいいのかが分かれば、先読み、先回りして仕事もできるし、今自分が進捗過程のどこにいて次に何をしなければならないかが分かります。もし、今の居場所からなかなか前へ進めないなら、そこには何か事情があるはずです。そうやって課題を絞り込み問題解決のための方策を立てやすくなります。
営業のマネージメントをされている方、そして、経営者はそのことをちゃんと理解して頂きたいと願っています。OJTで経験を積めば、いつか営業力が身に付くなんて、博打もいいところです。営業の仕事は、そんな単純なモノではありません。科学的に、合理的に仕事を進める方法が存在しているのです。「とにかく、経験だ!」「やれば分かる」。そうやって営業力が育つなんて、たまたまうまく行けばいいようなものの、確立は相当低いと言わざるを得ません。そんな不確実で効率の悪い投資をしてもいいのでしょうか?
今回の大阪の研修で、こんなコメントを頂きました。
受講前:営業職をやめたい、不安
受講後:営業は面白い、楽しみ
「営業プロセス」の価値を分かって頂けたようです。
講師冥利に尽きます。ほんとうにありがとう。