こんな記事が、昨日の日経新聞に掲載されていました。記事によると化粧品の国内市場は低迷しており、成長を持続させるには拡販して新規顧客を獲得するよりも、ひとりのお客様に繰り返し使ってもらう必要があると判断。顧客満足度を高めることを営業の評価基準としようとするものだそうです。
今更何を言っているのだろうかとも思うのは私だけでしょうか?また、こんなことが日経新聞に大きく取り上げられること自体、奇異にさえ感じられます。
「顧客満足を一番に考えなければならない」、「お客様の視点に立って営業活動は行うべきだ」と経営者は声を大にして社員を鼓舞しています。しかし、営業成績の評価基準は、売上げ目標という数字を達成したかどうかだけという会社も少なくありません。誰が見ても明らかな矛盾が、やっと普通の姿に戻ろうとしているだけのようにも思えます。
先日のブログ「勤勉は美徳、努力は報われる」でも紹介しましたが、高度経済成長時代は、作れば売れる時代でした。お客様も新しいもの、高機能なものをどんどん買うことで満足していたのかもしれません。営業の売上げ目標という数字とお客様の満足は、同じ方向を向いていたのかもしれません。
しかし、今はもうそのような時代ではありません。お客様は、あふれる情報を手にして商品を比較検討し選択しています。また、商品を作る側も他社に負けじとばかりに商品開発を競っています。結局は、似たり寄ったりの商品がちまたにあふれています。
IT業界は、さらにその先を行っているようです。どのサーバーもINTELのCPUを搭載し、OSは、WindowsかLINUX、ネットワークは、CISCOといったように、表向きの化粧は変えても、中身の競争は無駄とばかりに競争をやめてしまっています。
そのような中でIT営業は、競合に立ち向かわなければなりません。同じものを売っているわけですから、価格競争では限界があります。そうなると製品ではなく、お客様の課題を起点としたソリューションで「お客様の満足度を上げること」以外に競争を勝ち抜くことはできません。
「“ソリューション営業”とそれ以外の営業は、何がどうちがうのでしょうか?」と聞かれることがよくあります。中には、「言葉を言い換えただけで中身は一緒でしょ・・・」と最初から分かったつもりで聞いてくる人もいます。
私は、そのような人に言うのですが、「売り込むものが違うんですよ。商品ではなく、あなた自身のお客様への愛情。お客様の課題を何とかしたいという気持ち。それを行動で示すこと。つまり、あなた自身を商品にすること。それがソリューション営業なんですよ。」と・・・
営業は売上げ目標を達成することが仕事です。そのことは、十分に自覚しています。しかし、結果としての数字だけを評価基準として営業の成績を評価することは、そろそろおしまいにすべきでしょう。
お客様の満足度を高めてゆくこと。お客様の満足度を常に高めていれば、例えその案件がうまくとれなくても、次のチャンスには、ゴールに近い位置から案件獲得競争をスタートできるはずです。
数字だけではなく、お客様の満足度も成績評価の基準にしてゆこうという考え方。ソリューション営業の成績評価にもどんどん採用すべきだろうと思います。