「コンピューターが人間を支配し、人間には有能な機械の手入れぐらいしかする事がなくなると思われていた。」(「闘うプログラマー」・日経BP社)
1960年代、コンピューターは不吉なもの、恐ろしいものというイメージが少なからずあったようです。いまでは考えられないような話しです。
この「コンピューター」を「人工知能」に置き換えたらどうでしょう。もしかしたら同じようなことを考えてはいないでしょうか。
ITビジネスは、お客様の3年後に対して責任を持つ仕事です。あなたが提案したこと、あるいは構築したシステムは3年後にも使われているはずです。人工知能に限らず、ITの3年後がどうなるかの未来を描けず、お客様に説明できなければ、責任を果たすことはできません。
ITビジネスに限った話ではありませんが、事業戦略を考える上で注目すべきは現在の市場規模そのものではなく、その加速度です。成長率であり、トレンドメーカーたちの製品発表やM&Aなどの活発さから、加速度を知ることができます。この視点から見れば、人工知能やIoTなどのテクノロジーは、市場規模こそまだまだですが、その加速度には目を見張るものがあります。そういうところで、いち早く存在感を示し、将来の市場の成長に備えることが、変化と競争の激しい業界の中で、生き残ってゆく術なのでしょう。
「そうはいいますが、簡単なことではないですよ」
そんな声も聞こえてきそうです。しかし、それは工夫次第で解決できます。
「他人の成果を自分の成果にできる時代」
- インターネットを介して優れたサービス機能を容易に取り込めるAPIサービス
- 人工知能やIoTに関わる最新の機能をサービスとして使えるPaaS
- テクノロジーの最先端を支えるオープン・ソース・ソフトウェア(OSS)の普及
など、自分たちが自ら開発をしなくても、他人の優れた成果を利用することができる時代になりました。そんなトレンドを学ぶことを怠り、これまでの成功体験がそのまま使えると思考停止に陥っているようでは、未来はありません。
<参照> 【図解】コレ一枚で分かるAPIエコノミー
このブログや拙著でも申し上げてきたことですが、工数ビジネスはもはや「じり貧」です。例え工数需要は維持できても利益の確保はますます難しなるでしょう。だからこそ、トレンドを見据えた成長市場に向かわなくてはならないのです。
ドラッカーが、次のような言葉を残しています。
「既に起こり、後戻りのないことであって、10年後、20年後に影響をもたらすことについて知ることには重大な意味がある。しかも、そのような、すでに起こった未来を明らかにし、備えることは可能である(ドラッカー「経営論」)。」
「すでに起こった未来」を知り、それに対処することが経営者の役割であると語っています。
そのためには、まず「すでに起こった未来」、つまりトレンドを知ることに関心を持たなくてはなりません。トレンドとは「時流」であり、未来への道筋を示してくれる流れです。
そんなトレンドから自分たちの立ち位置を定めることです。そして、自分たちの果たすべき役割について考えることです。そして、「すでに起こった未来」に向かう流れに自らをゆだね、その船頭として舵を取ることが、経営者の役割といえるでしょう。そして、その流れにお客様を乗せることが、営業という仕事の大切な役割なのだと思います。
流れに乗ることを躊躇し、「すでに起こった未来」とは別のところに行き着いていたと気付いても、そのときはもはや後の祭りです。
時代の変化は、これまでの経験の延長線上だけでは、理解できないことがたくさんあります。だからこそ、お客様も迷っています。そこに道を示し、お客様を導いてゆくことが、お客様に存在感を示し、信頼される方策なのだと思います。
お客様の3年後に責任を持つ。それは、とりもなおさず、自分たちの3年後に責任を持つことでもあるのです。
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