「次から次へと新しいツールが出てきて、正直もうついていけない…」
「日々の業務に追われて、勉強する時間なんてとても作れない…」
社会人になり、がむしゃらに走ってきたあなたも、ふとこんな風に感じたことはありませんか?
技術の進化は凄まじく、市場の変化も激しい。そんな目まぐるしい環境の中で、漠然とした焦りや不安を抱えている人も少なくないでしょう。
この記事は、そんなあなたのために書きました。
変化の時代をただ乗り切るのではなく、むしろその変化をチャンスに変え、10年後、20年後も自分らしいキャリアを築いていくための「学びの羅針盤」を手に入れるヒントがここにあります。
なぜ、あの先輩はITパスポートに落ちたのか? ~あなたの「常識」は、もはや「不良債権」かもしれない~
「自分はまだ若手だし、学習意欲もある。だから大丈夫」
本当にそうでしょうか?ここで、あるIT企業で実際に起こった、少し衝撃的なお話を紹介します。
その会社では、DX推進の一環として、経験豊富なベテラン社員も含め、全社で「ITパスポート試験」を受験することになりました。ITパスポートは、特定の業務スキルではなく、IT技術、経営戦略、法務といった、現代ビジネスに不可欠な「基礎知識」を問う、まさに社会人のための基礎体力テストです。
会社は受験のための研修も実施し、万全の体制で臨みました。しかし、結果は惨憺たるもの。合格率は、全国平均の50%を大きく下回る3割未満。特に、ビジネス経験が豊富なはずのベテラン層が、経営戦略などの「原理・原則」を問われる分野で軒並み点数を落としてしまったのです。
彼らは決して仕事ができないわけではありません。長年、会社を支え、特定の業務においては高いスキルを持つ功労者たちです。ではなぜ、このような結果になったのでしょうか。
その原因は、彼らがビジネスパーソンとして歩んできた「時代の違い」に根差しています。
経済が右肩上がりで成長していた時代、ビジネス環境は比較的安定していました。そこでは、先輩が確立したやり方を忠実に真似し、その手順を完璧にこなすことで、会社に貢献し、評価を得ることができました。つまり、「決められたことを、いかに効率よく正確にできるか」という経験を積むことが重視され、そのノウハウを磨くことが成功への最短ルートだったのです。この環境下では、既存のやり方の「なぜ」を問うたり、土台となる知識を学び直したりする必要性は薄かったのです。
しかし、もうそんな時代ではありません。不確実性が高まり、変化のスピードが加速する現代において、求められるのは「未知の課題に対して、原理原則に立ち返って最適解を導き出す能力」です。ITパスポート試験が問うていたのは、まさにこの土台となる「現代の基礎知識」でした。
ベテラン社員たちは、長年の業務で培った「特定のやり方」には習熟していましたが、その土台となる知識をアップデートする習慣がありませんでした。その結果、かつては大きな価値を持っていたはずの成功体験や業務ノウハウが、新しい知識の習得を妨げる「足かせ」となり、現代のビジネスパーソンとしての基礎体力を問われたときに、対応できなくなってしまったのです。
このように、かつての成功体験が、変化への対応を拒む壁となり、新しい価値創造を阻害するとき、その経験はもはや資産ではなく**「不良債権」と化してしまう**のです。ITパスポート試験の結果は、まさにその厳しい現実を浮き彫りにしました。
原因は、「日々の学習習慣の欠如」と、過去の成功体験が新しい学びの邪魔をする「プライドの壁」です。だからこそ、常に学び続けること、とくに物事の本質である、基礎や基本、原理や原則をしっかりと自分の知識の土台に据えることが、これまでになく重要になっているのです。
では、なぜ小手先のテクニックではなく、「基礎」や「原理原則」が重要なのでしょうか。それには3つの明確な理由があります。
- 知識の「賞味期限」が圧倒的に長いから 特定のツールの使い方や業務手順といった「やり方(How)」の知識は、数年、早ければ数ヶ月で時代遅れになります。しかし、「なぜこの技術が必要なのか」という経営の原理や、「どうすれば効果的に情報を伝えられるか」というコミュニケーションの原則といった「本質(Why)」は、時代が変わっても色褪せません。木の幹がしっかりしていれば、枝葉が移り変わっても木そのものは成長し続けられるのと同じです。
- 新しいことを学ぶスピードが格段に上がるから 基礎というしっかりとした「土台」があれば、その上に新しい知識やスキルを積み上げるのは非常に簡単になります。例えば、マーケティングの基本原則を理解していれば、新しいSNSが登場しても、その本質を見抜き、効果的な活用法を素早く見出すことができます。基礎がないままテクニックだけを追いかけると、新しいものが出るたびにゼロから学び直すことになり、変化に追いつけなくなってしまいます。
- 未知の問題に対応できる「応用力」が身につくから これからの時代は、誰も経験したことのない問題に直面する機会が当たり前になります。そのような時、過去の経験やマニュアル通りのやり方だけでは対応できません。物事の「原理・原則」に立ち返り、「そもそもこれは何のためだっけ?」と考えることで、状況に応じて最適な解決策を自ら導き出すことができます。この応用力こそが、変化の時代を生き抜く上で最も価値あるスキルとなるのです。
「ついていけない」は成長のサイン。歴史は繰り返されている
「生成AIの進化スピードが速すぎて、もうついていけない」
今、多くの人がそう感じています。しかし、この感覚、実は歴史上、何度も繰り返されてきました。
今から約20年前、クラウドコンピューティングが登場したときも、全く同じ光景がありました。「もう変化の速さについていけない」と嘆く人と、これを好機と捉えてクラウドを学び、変化に対応した人との間では、その後のキャリアで大きな差が生まれてしまったのです。
歴史は繰り返します。今、私たちの目の前で起きているAIの進化も、全く同じ道を辿るでしょう。
「ついていけない」と感じること。それは、あなたが時代の大きな変化の波の最前線にいる証拠です。そして、その感情は「諦め」の合図ではなく、「成長のチャンス」のサインなのです。
かならずしも、トップランナーになる必要はありません。しかし、変化の背中を必死に追いかけ、食らいつこうとする気概を持つこと。その姿勢こそが、世の中の大きな潮流を肌で感じ、その中で自分が何をすべきかを見極める力に繋がるのです。
学び方の「OS」をアップデートしよう
では、具体的にどう学べばいいのでしょうか。ここで多くの人が「何を学ぶか(What)」に飛びつきがちですが、その前に、あなたの「学び方」そのものを見直してみませんか?
1. 「捨てる学び」を始めよう
若いうちは、新しい知識をスポンジのように吸収する「足し算の学び」が中心です。しかし、キャリアを重ねるほどに重要になるのが、**古い知識や成功体験を意識的に捨てる「引き算の学び」**です。
「昔はこのやり方でうまくいった」という経験は、あなたの武器であると同時に、変化への対応を妨げる「不良債権」にもなり得ます。
「この常識は、今も本当に正しいのか?」「もっと良い方法はないだろうか?」と、あえて自分の「当たり前」を疑ってみる。例えば、「会議資料は事前に完璧に作り込むべきだ」と教わったとしても、「このプロジェクトのスピード感なら、アジェンダだけ共有して議論中心にした方が良いのでは?」と問い直してみる。この「アンラーン(学習棄却)」こそが、新しい知識を受け入れるためのスペースを作るのです。
2. インプットは「目的」ではなく「手段」
本を読んだり、研修を受けたりして「勉強した気」になっていませんか?真の学びは、インプットした知識をアウトプットして初めて血肉となります。
- 学んだことを、同僚や後輩に話してみる。
- 自分の言葉で、ブログやSNSにまとめてみる。
- 業務の中で、小さな改善として試してみる。
人に教えようとすると、自分がどこを理解できていないかが明確になります。実際に使ってみることで、知識は初めて「使えるスキル」に変わるのです。インプットは、アウトプットするためにある。この意識を持つだけで、学びの質は劇的に向上します。
あなたのキャリアを切り拓く、一生モノの「Why」
そして、これら全ての土台となるのが、「なぜ(Why)、自分は学ぶのか?」という問いです。
「自分はこうなりたい、だから学ぶんだ」という目的(Why)が心の中に灯って初めて、人は主体的に、そして意欲的に行動できます。その目的さえ明確になれば、「何を学ぶか(What)」や「どう学ぶか(How)」は、自然とあなたに合った形で見つかるはずです。
この「Why」から考える習慣は、あなたのキャリアを劇的に変える力を持っています。
例えば、上司から資料作成を頼まれた場面を考えてみましょう。
【Whatから考える人】 「資料作成を頼まれた。いつものフォーマットで、必要なデータを集めて作ろう。」 →思考が「作業をこなすこと」で止まりがち。目の前のタスクを終わらせることが目的になります。
【Whyから考える人】
- Why?:そもそも、なぜこの資料が必要なんだろう?この資料で、誰に、何を伝えたいんだろう?
- →目的は、会議の参加者にプロジェクトの進捗の遅れを理解してもらい、対策を議論することだ。
- How?:その目的を達成するために、どういう見せ方が一番効果的だろう?
- →ただデータを並べるだけでなく、遅延の原因をグラフで示し、考えられる対策案をいくつか併記するのが良さそうだ。
- What?:じゃあ、具体的に何をしよう?
- →まず原因分析のデータを集め、次にグラフを作成し、最後に対策案をまとめる。
このように、「Why」から始めると、単なる「作業」ではなく、「ビジネスを良くする」という大きな目的の中で、自分の仕事の価値をどう高めるか、という創造的な視点が生まれます。
明日からできる、はじめの一歩
変化の激しい時代、特定の企業でしか通用しないスキル(How)や知識(What)だけでは、環境が変わった瞬間に価値が失われるリスクがあります。
しかし、「Why(なぜ)」を問い続ける力と、学び方をアップデートし続ける習慣は違います。これらは、あらゆるスキルや知識を生み出す源泉となる、普遍的な能力、あなた自身のどこに行っても通用する「自分力」です。
難しく考える必要はありません。まずは、あなたが毎日当たり前のようにやっている仕事に、小さな「なぜ?」をそっと添えてみませんか。
「『この報告書の本当の目的はなんだっけ?もっと価値ある情報にできないか?』『この定例会議、どうすればもっと創造的な時間に変わるだろう?』」
その小さな問いかけと、学んだことを誰かに話してみるという小さなアウトプット。その積み重ねが、あなたを「やらされ感」から解放し、5年後、10年後も社会で価値を発揮し続けるための、最も力強い羅針盤となるはずです。
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