2006年、ライブドア事件が世間を賑わせたこの年、NTTドコモの携帯は世界最高速の通信方式HSDPA(3.6Mbps)のサービスを開始しています。ソフトバンクがボーダフォンを買収し携帯電話事業に参入したのもこの年でした。
当時は、ノートPCのメモリーは512MBが標準となり、Windows XPとInternet Explorer 6が圧倒的なシェアを誇っていました。
サーバーは自社で所有するのが当たり前で、仮想化はOAには使えても基幹業務には使えないというのが常識の時代でした。そんな時代にAmazonが「Amazon Simple Queue Service(SQS)」、「Amazon Simple Storage Service(S3)」、「Amazon Elastic Compute Cloud (EC2)」のサービスを開始しています。当時GoogleのCEOであるエリック・シュミットが「クラウド・コンピューティング」という言葉を使う少し前のことでした。AppleがiPhoneを発売したのはその翌年(2007年)のことです。
それから10年目の2016年、スマートフォンが当たり前の時代になり、NTTドコモのプレミアム4Gサービスは300Mbpsのサービスを提供、PCは出荷台数を落としています。
基幹企業はパブリック・クラウドやホステッド・プライベート・クラウドへ移行させる取り組みがここ数年急速に増えています。
たぶんこれからの10年の変化はもっと加速するでしょう。例えば、回線速度がいまの100倍の5Gが当たり前に使われるようになれば、自社でLANを引く企業はなくなってしまうかもしれません。そして、リモートワークは当たり前になっています。自社でサーバーを所有する企業はほとんど無くなり、パブリック・クラウド上に自社システムやデータを持ち、他のSaaSと組み合わせて使っている時代となっているでしょう。
人工知能が生活やビジネスの随所で使われるようになり、スマートフォンに語りかければ自動運転タクシーが迎えに来てくれます。物流に自動運転のトラックやドローンは当たり前となり、IoTによって、私たちの日常はことごとくデジタル・データでつながり生活や仕事の効率は大幅に上がっています。自動車や生活用品、宿泊施設など様々なモノはシェアされ、低コストでも便利で豊かな生活ができるようになっているかもしれません。
アジャイル開発は当たり前の時代となり、PaaSやAPI、BRMSなどの高速開発ツールを活用し、効率や品質は桁違いに高まっているはずです。
数千人月のビッグ・プロジェクトが終焉を迎えつつあるあるいま、そんなこれからの10年に向けた取り組みにIT需要は大きくシフトしていきます。システム開発の需要がなくなることはなく、むしろ、これからのデジタル社会の進展を考えれば、その需要が拡大するはずです。しかし、そこに求められる価値は、柔軟性とスピード、そして開発生産性の高さです。工数の提供ではないことを覚悟すべきです。
そうなれば、ビジネス・モデルや収益構造の転換を急速に推し進めなければなりません。既存エンジニアの再教育、新入社員研修も、そんな時代の変化に対応してゆかなければなりません。
「十年一昔」があっという間の出来事であることは、冒頭でお伝えしたとおりです。そして、あっという間の10年がこれから始まるのです。そのために、どんな取り組みをおこなえばいいかは、拙著「システムインテグレーション再生の戦略」で詳しく語らせていただきましたが、それらに共通する基本原則があります。それが下記の等式です。
「少ない開発量で最大の成果をあげる。しかも短期間で!」
この式の意味するところです。これは、情報サービス産業協会(JISA)会長 横塚 裕志氏が講演で紹介されたものです。アジャイル開発、DevOps、高速開発、自動化・自律化、クラウドなどがこの等式を成り立たせる要件となるでしょう。
そんな時代の変化に備えはできているでしょうか。
- 10年後に世の中はどうなっているのか。
- そのとき、自分たちは何をしているのか。
- ならばそのためにいま何をしなければならないのか。
そんな視点で事業施策をかんがえてみてはどうでしょう。
10年後は間違えなくやってきます。ならば、その時代の常識から逆引きして、これからの10年に向けた取り組みを考えてはどうでしょう。
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