さて、いかがでしたか。ちょっと難しかったでしょうか。
まずは、「問題」で紹介したあなたの対応と以下の対応と比べてみてください。
ケース設定、つまり 屋留木主任より「3日後に開かれる経営会議で説明したい。ついては、至急スケジュールと開発体制を含む、具体的な提案書を提出して欲しい」との連絡を頂いたところまでは同じです。
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あなたは、予め打ち合わせておいた体制とスケジュール案を見直し、資料を手直ししました。それを担当SEとパッケージ・ソフトウエアに詳しいエンジニアにメールで送り、明日の午前中までに修正やコメントを送って欲しい旨を依頼ししました。あなたは、彼らの連絡を受けて企画書を完成させ、お客様に提出しすることができました。
お客様からは、急な依頼に確実に答えてくれたことへの感謝と「なんとしてでも経営会議で承認をもらうように頑張ってみます」というコメントを頂きました。
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今までとちょっと視点変えた問題です。違いが分かりましたか?
ポイントは、「先読み力」です。あなたは、しばらく前からお客様にアプローチをしていました。キーパーソンとも直接コンタクトをとり、確認をしていました。ならば、今後どのような展開になるのか、あるいはすべきなのか予測し、事前の対応=「前始末」ができたはずです。それを怠り、屋留木主任に依頼されて急いで対応=「後始末」したところに間違えがあります。
ある意味で、このケースでのあなたの対応は、迅速かつ適切であり、優秀な営業として評価されると思います。すばらしい「対応力」を発揮したのです。
しかし、後始末のための「対応力」は、予測できない事態の急変や突破的なトラブルに使うべきモノであり、あらかじめやるべきことが分かっているならば、事前に余裕を持って準備しておいたほうが、仕事の品質を上げられるはずです。何よりも、自分が楽できるし、回りにも無理を強いる必要はなかったわけです。そちらのほうが、ずっとスマートです。
やらなくてもいい緊急対応をしておいて、「緊急事態に即応し、お客様にも感謝された。どうだい、オレはできるだろう・・・」という自己満足。仕事は、そんな自分の満足や回りに対する自己顕示欲を満たすためにやるモノではありません。
できることを余裕を持って事前にやっておく。そのようにして、要領よく、確実に品質の高い仕事をすることこそ、プロフェッショナルの仕事です。
しかし、何もないところで「先読みする」ことは容易でありません。経験の積み重ねがものを言うところです(まあ、ベテランの営業でも先読みのできない方は少なからずいらっしゃいますが・・・)。
しかし、営業として経験を積まなければ先読みができないかというとそんなことはありません。研修で紹介した「営業活動プロセス」を利用してください。仕事を「先読み」するための指針を与えてくれます。
「営業活動プロセス」とは、仕事の進め方の脚本/シナリオです。これをうまく利用すれば、営業活動のプロセスの中で、今自分がどこにいるのか、次に何をしなければならないのかを示してくれます。
「対応力」の優れた「優秀な営業」は、世の中にごまんといます。しかし、「先読み力」のある「プロフェッショナルな営業」は、そんなに何人もお会いしたことはありません。
さて、あなたはどちらを目指しますか?