今年最後の「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」が、今日明日の2日間行われる。この研修の中で、いつも最初に申し上げるメッセージがある。
「営業力とは、生まれ持った才能やセンスではありません。技能であり、スキルです。」
研修に参加される方の経歴を拝見すると、実に様々だ。入社以来、IT営業職の方もいらっしゃるが、SE、プログラマー、保守技術員。同じ営業でも、不動産、保険、家電製品などを扱っていたという人もいる。ユニークなところでは、「生協でおばちゃん相手に野菜を売っていました。」という方もいた。様々なキャリアの持ち主だ。
人は誰も自分の国籍を持っている。言い換えるなら、その人がもっともやりやすい、そして、居心地のいいスタイルというものがある。それこそが、生まれ持ったセンスであり、いままで培ってきた経験なのだろうと思う。その人なりの持ち味が生かせないようであれば、仕事など楽しくないし、決してうまくは行かない。それが個性というものであろう。
このような個性とスキルは、別ものだ。これを区別せず、ごちゃ混ぜにしてしまうと、人の成長が見えてこない。
私は、この研修でソリューション営業の定石、つまり仕事を効率よく、効果的にこなしてゆくための手順や具体的な実践の技術をお伝えしている。つまり、スキルの部分である。
誰でも練習すれば自転車には乗れる。ちょっと頑張れば、ロードレースやトレイルレースに出場することも夢ではない。努力はいるが、一定の水準までは、誰でも自分のスキルをのばすことができる。このスキル、つまりハンドルの操作、ペダルの踏み方、重心のとり方には、誰がやっても大きな違いはない。
しかし、自分が好む自転車のタイプ、乗り方にはいろいろなスタイルがある。それが個性というものだろう。自分のスタイルがあるからこそ、楽しむことができる。
あなたのセンスや経験は、あなたの営業スタイルとなる。SEや保守技術者であれば、その経験を生かして技術の本質をわかりやすく伝え、お客様の信頼を得ることができるだろう。生協の店員であれば、人の心の機微を捕まえ、お客様に好かれることができるかもしれない。
しかし、センスや個性だけでは、案件を確実にクローズに持ち込むことはできない。だから、仕事の手順を正しく理解し、そのプロセスを着実に進めてゆくことができれば、仕事の効率は上がり、効果を出すことができる。
この違いを自覚して頂くこと。そして、営業力=スキルを学んで頂くこと。それが、この研修の狙いだ。
この定石の上に、それぞれの個性を重ね合わせ、自らの営業スタイルを育ててゆく。それは、ここに参加する皆さんの責任となる。
さあ、今日も張り切って、講師を務めますか・・・!