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いまはだいぶ変わってしまったかもしれないが、かつての日本IBMでは、営業は、プロとしてのプライドをしっかりと持っていたと思う。
自分に与えられたテリトリーで、目標を達成することに生活のほとんどの時間を費やしていたと言っても過言ではない。私もまた、そんな一人だった。
傍から見れば、仕事人間、仕事中毒と思われていただろう。とにかく、朝7時半には、オフィースに出て、夜は終電かタクシー。週に1回は徹夜をして、土日はどちらか必ず出社していた。
自分としては、目標を持ち、それを達成するために、知恵を絞り、時間を惜しまず働くことに酔いしれていたのかもしれないが、その厳しさゆえに、仕事を楽しんでいたことも確かだ。
こんな仕事人生だから、犠牲も大きかった。家族のこと、健康のこと、大きな犠牲を強いてきた。それでも、若さゆえのがむしゃらさに、迷うこともなく突き進んできた。
お客様に対する思い入れも、いや、思い込みというべきかも知れないが、「このシステムを入れることで、お客様は確実に業務の改革できる。」と自信を持って公言していた。
お客様に、強引といわれようと「なぜ、こんなメリットのあることをやらないんですか?」と説教する始末である。怖いもの知らずとでもいうか、今思えば、傲慢なやつと思われていただろう。
自分の背負う目標と急いではいないお客様の抵抗。この両者のギャップを埋めるために、知恵を絞り、人脈を駆使し、社内をも説得してまわる。そんな仕事に誇りを持って取り組んでいた。
社内にも、「営業とは、そういうもの」だという、コンセンサスがある。営業は、担当するお客様のビジネスに全責任を持ち、そのリーダーシップに従い協力することを当然とする空気があった。それは、エンジニアやサポート・スタッフだけではなく、工場の関係者、経営者までもが、同じ考えでいた。もちろん、役職の上下や若長の礼儀はあるにしても、そのお客様についてのビジネス・リーダーは営業であるということに誰もぶれることはない。
営業もまた、その責任を背負っているとの自覚があり、「何かあったら、それはすべて営業の責任」と考えていた。
どこかの宗教団体か、猛烈主義のカリスマ経営者のいる企業のようにも思われるかもしれないが、会社の文化として、このような雰囲気が営業の現場には定着していた。
振り返れば、このやり方が本当によかったかといえば、必ずしもそうは思わない。仕事の要領も考えず、ただがむしゃらに働いてきたこと。家族に大きな負担を背負わせたこと。お客様にも必要以上のプレッシャーをかけていたことだろう。
自分の体さえ壊してしまうほどのこのような働き方が、本当によかったかと言えば、もっとやりようがあったのではないかとも思う。ただ、そのときの自分は、それが精一杯だった。
しかし、営業という仕事への誇り、そこまで追い込むことができた経験は、大きな自信となっている。
今、私は、営業研修に強い思い入れを持っている。それは、この歳になって、自分の歴史を冷静に振り返ることができるようになったためではないかと思う。
「自分の経験こそ、あるべき姿」という若いころの驕りはなく、なんと馬鹿なことをしてきたのかという恥ずかしいことも含めて、自分を見ることができる。
「もし、あの時、こんなアドバイスがあれば、営業人生も変わっていたかもしれない」と思えることを、どう伝えればいいのか。いま、その内容や伝え方に今は腐心している。
「営業がいやだ」という人。私もかつてそうだった。早くやめたかった。それでも、何故続けられたか。そこには、営業という仕事にプロフェッショナルとしての意義を見つけることができたからだろう。
私は、研修を通じて、そのきっかけを提供できればと願っている。しかし、それは、精神論ではない。実践論があってこそのプロフェッショナルである。高い目標や意欲を持つことに異議を挟むものではないが、そこにどう行き着くかの実践論なくして、プロフェッショナルにはなりえない。
世の中は変わり、技術も変わる。しかし、人間というのは、その本質において、そう変わるものでもないようだ。多くの受講生を見ていて、間違えないと思う。
未だ完成には至らない「営業研修」ではあるが、私の過去の経験にとらわれることなく、先人の、あるいは、今の人たちの知恵をも斟酌しながら、内容を熟成させたいと苦労している。
そんな途上にある内容でも、きっとお役に立てるものはあると、私は信じている。
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