私の質問:ユーザー企業の内製化の拡大は、SIビジネスにどのような影響を与えるのでしょうか。
ChatGPTの回答:ユーザー企業の内製化の拡大は、SIビジネスに以下のような影響を与える可能性があります。
- 受注数の減少:ユーザー企業が自社でシステムを開発・保守する場合、SI企業へのシステム開発・保守の受注数が減少する可能性があります。
- 人材不足の緩和:一方で、ユーザー企業が自社でシステム開発・保守を行うために必要な専門技術を持った人材を確保することが困難な場合、SI企業が提供する技術者の派遣サービスなどが求められる可能性があります。
- 顧客のニーズの変化:ユーザー企業が自社でシステム開発・保守を行うことにより、顧客のニーズが変化する可能性があります。SI企業は、これらの変化に対応するために、柔軟性のあるサービス提供体制を構築する必要があります。
- 高度な技術の需要:ユーザー企業が自社でシステム開発・保守を行うことにより、SI企業は、より高度な技術を提供する必要があるかもしれません。例えば、AIやIoTなどの新しい技術を活用したシステムの提供が求められる可能性があります。
- 価格競争の激化:SI企業は、内製化が進むことにより、価格競争が激化する可能性があります。SI企業は、競合他社との差別化を図ることで、顧客のニーズに応えることが求められます。
以上のように、ユーザー企業の内製化の拡大は、SIビジネスに影響を与える可能性があるため、SI企業は、顧客のニーズに応えるために柔軟性を持ち、高度な技術を提供することが求められます。
Chat GPT、恐るべし!だれもが、その通り!と思える真っ当な答えを返してくれました。
この「だれもが、その通り!と思える真っ当な答え」こそが、Chat GPTの限界でもあります。
いろいろと試してみたのですが、かなりの頻度で、真っ当な答えが返ってきます。私は、AIの専門家ではありませんから、技術的な詳細を語ることはできませんが、Chat GPTの元になった深層学習モデルで、主に自然言語処理に使われているTransformerの仕組みを考えるとそうなるのは当然です。とても単純化して言ってしまえば、次のようになります。
「ある言葉が文章中に出現するとき、同時に出現する言葉の出現頻度を計算して、確率的に高い言葉をつなぎ合わせている」
言葉の意味や前提となる常識などはお構いなしに、ある言葉が使われるときに、よく使われる言葉を、自然な文章となるように、つなぎ合わせているわけです。人間が作った「文法」を使っているのではなく、確率的な言葉の出現頻度で、言葉をつなぎ合わせていることになります。
しかし、これはこれで、凄いことです。文法を使わなくても、こうやってまともな文章に仕上がるわけですから、技術の進歩は驚くべきでしょう。いや、もしかしたら、人間もまた文法なんて覚えていないわけで、同じようなメカニズムで言葉を使っているのかも知れませんね。
しかし、「だれもが、その通り!と思える真っ当な答え」が、出てくるのは、それだけ多くの人たちが、このようなことをネット上に発信していることになり、「誰もがこうなると考えている」ということなのでしょう。
ChatGPTが、社会的常識や言葉の意味を分かっているわけではありません。そのため、文章表現はまともなのですが、シラッと間違ったことを返してくることも少なくありません。まともな文章になっているので、「正しいことを言っている」と納得してしまう人もいるはずです。結果を読みとる人の常識力が、問われることになります。
だからと言って、使えないわけではありません。私は、仕事柄毎日文章を書いています。文章を書いたあとに、不安に思うことを質問すると、気付かない視点を教えてくれることや、こういう説明の仕方もあったのかとの気付きも与えられ、便利に使っています。また、長々とした記事や論文を要約してもらい、さっと要点を掴むには、重宝しています。
MicrosoftのCEOであるサティア・ナデラ氏は、ChatGPTを「Copilot(副操縦士)」であると言っています。機長ではなく、主導権は利用者本人であるというわけです。ただ、副操縦士がいるおかげで、仕事が楽になることは間違えありません。
こういう技術が登場して、「間違った答えをするから使えない」、あるいは、「わかりきった答えしか返ってこないから使えない」という声もあるようです。それは、技術の可能性に対する不見識です。
2008年にiPhone3Gが日本に登場したとき、画面が手の脂ですぐに汚れる、折りたためないから画面が傷つく、絵文字が使えない、お財布携帯機能が使えない、インターネットならiモードが既にある、だからこのような商品は売れないだろうと「専門家」が言っていたことを思い出されます。
テクノロジーのトレンドを読み解くには、自分の視点を未来に置かなくてはなりません。未来から現在を眺めて、このテクノロジーがもたらす未来のあるべき姿を描き、いまとのギャップを捉えることです。そのギャップが、埋められていく過程を考えたとき、そこに可能性があるとすれば、それは、世の中を変えるトレンドとなります。
ビジネスは、未来を先取りし、先手を打っていくことで、チャンスを掴むことができます。そんな視点で、ChatGPTを考えると、ITと人間のインターフェイスのひとつのトレンドになってゆくでしょう。これが、いまのままのカタチで使われることはありません。今後、様々な製品にサービスに組み込まれてゆくはずです。
「今日中に、先日の講義の所感を提出しろと言われているのだけど、代わりに書いてくれないかなぁ。講義のアジェンダは、以下の通りだよ。」
Microsoft Wordに、そんなメッセージを書き込むと、「分かりました!」と返事をして、あっという間に書き上げてくれる時代は、もうすぐです。早くそうなって欲しいと心から願っています。
同様の技術は、既にプログラミングの現場では使われ始めています。例えば、GitHub Copilotは、コメントや関数のシグネチャーから文脈を読み取り、開発者がこれから書こうとすることを予測して、それを代わりに書いてくれます。開発者は、GitHub Copilotの作ったソースコードを確認し、必要があれば手直しするだけでコーディングを完了できます。
GitHubの最新の調査によると、全てのプログラミング言語で平均46%のコードがGitHub Copilotによって書かれ、Javaを使用している開発者の間では、その割合が61%に上るとしています。さらに、GitHub Copilotは開発者のコーディング速度を向上させ、仕事への充実感を高めることも明らかになっているということです。
最新のバージョンでは、提案されるコードをより安全にするために脆弱性を見つけてフィルタリングする機能が導入されました。生産性だけではなく、安全性に対しても機能の向上が図られています。
また、Power Appsには、自然言語(英語)を Power Fx 式に変換する機能が搭載され、例えば、「取引先企業名の長さが 10 より大きいアカウント」入力すれば、そのための関数を作ってくれます。
こういう時代になると、工数を提供するSIビジネスの土台が崩れてしまいます。プログラミングの訓練を受けた人材でなければできないから、工数需要が生まれます。SI事業者は、組織力を動員して、訓練を受けた人材を集めて、ユーザー企業に提供することで、いまのSIビジネスが成立しています。
しかし、上記のような機能がさらに進化すれば、プログラミング人材は、よほど高度なものでない限り、必要なくなります。そうなれば、ユーザー企業の内製化の範囲は、ますます拡がるでしょう。プログラミングの工数を提供するだけのビジネスは、その需要を失うことになります。
一方で、技術を目利きし、どのような仕組みを作ればいいかを設計し、お客様を指導できる、圧倒的な技術力は、その需要を増やしていくはずです。
工数を売るのではなく技術を売る
自分たちの売り物を変えなければなりません。
ChatGPTだけではありませんが、テクノロジーの進化は、留まることはありません。ほんの少し前をふり返れば、クラウドが登場したとき、「開発や運用の仕事がなくなるわけではない」として、クラウドへの対応に後ろ向きだった企業もありました。しかし、クラウドの普及は、開発や運用のあり方を大きく変えてしまい、「組織力を使って工数を動員する」という大手SI事業者のビジネスを駆逐しつつあります。圧倒的な技術力のある小規模な企業が、これに代わってユーザー企業の内製化を支援し、ビジネスを伸ばしています。いままた「クラウドの登場」のときと同様に、競争の原理が変わろうとしているのです。
棍棒を手にした猿は人間に進化しました。いまAIを手にした人間は、さらに進化しようとしています。それは、ハラリのいう「ホモ・デウス」への進化なのかもしれません。本当にそうなるかどうかは分かりませんが、ITビジネスの需要に不可逆的な変化が起きていることだけは確かです。
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斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1
目次
- 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
- 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
- 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
- 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
- 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
- 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
- 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
- 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
- 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
- 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー
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