「売上は上がっているのに、利益は増えていません。利益率を見れば、ここ数年下がり気味です。」
SI事業者の方から、こんな話を聞くことがあります。いったいどこに問題があるのでしょうか。そして、どう対処すればいいのでしょうか。
1.「お客さまから依頼される仕事への関心」ではなく、「お客さまへの関心」へ
お客さまからの要望に確実に応えてゆく。その誠実さとそれをこなす実力は、信頼を育みます。しかし、その信頼は、これまでやってきた仕事の実績の範囲に留まってはいないでしょうか。つまり、お客さまはこれまで依頼した仕事の範囲でしか、その会社には期待していないのです。そして、提案する側も、その範囲に絞り込んで提案します。
このような関係を続けていると、お客さまは、この会社がいろいろなことを手がけていても、その全体を見てはくれなくなります。つまり、これまでの実績と担当者の提案の範囲で「彼らができること」を考え、自分たちの需要を満たしてくれるかどうかだけを値踏みして、仕事を依頼するようになります。
自分のお客さまとの関係で、以下に心当たりがあれば、注意が必要です。
- 担当者は知っているが、その上司や決定権限者とは面識がない。
- 組織体制とその役割、組織内の人間関係を知らない。
- お客さまの事業戦略を知らない。
潤沢な需要があれば、このような関係も問題にはなりません。しかし、いまの特需が終われば、競合と厳しい価格競争に晒されることになるでしょう。
この状況に対応するには、お客さまから提供される仕事に期待し、それを待つのではなく、お客さまの仕事そのものを、お客さまと一緒になって創り出すことが必要です。
これまでのように、お客さまから自分たちに提供される仕事に関心を持つのではなく、お客さまの経営や施策、事業戦略など、システム需要を生み出す本来の要因に着目することです。そして仕事そのものを創り出すことに関与することです。
お客さまから提供される仕事に関心を持ち、それに応える提案だけではなく、お客さまの経営や業務など、お客さまの置かれている状況、意志決定者の課題やニーズに関心を持ち、それをどのようにシステムで解決するかを提案することです。
2.「自分たちに何ができるか」ではなく、「お客さまは何がしてほしいか」へ
予め自分たちにできることを限定してしまい、その範囲でお客さまの需要を探るだけでは、ビジネス・チャンスは限られてしまいます。お客さまは、そんなことを期待してはいません。自分の課題を解決したいのです。
そんなお客さまの期待に応えるためには、自分たちができることをいったん棚上げし、お客さまの困っていること、してほしいことは何かを、まずは追求することです。上記でも述べた「お客さまへの関心」も、これを考える上で大切な基盤となります。
その上で、お客さまがしてほしいことを、お客さまに成り代わって整理し、それを提示するのも1つの方法です。その次に、そこで自分たちができること、できないことを仕分けして提示してはどうでしょう。
「自分にできること」に範囲を絞って、お客さまが提供してくれる案件の獲得に全力を尽くす。これでは、自ら競合の渦中に飛び込むようなものです。
競合を回避し、むしろ競合をコントロールする立場に立ち、ビジネスの主導権を握るためには、「お客さまは何がしてほしいか」を追求し、その視点から提案を考えてゆくべきです。
3.「一般論としての強み」ではなく、「自分たちならではの強み」へ
「何でもやります、何でもできます」を自分たちの強みと考えているところもあるでしょう。しかし、それは裏を返せば、「自分たちには、これといった強みがありません」ということでもあります。有り余る需要があれば、それもまた強みと言えるでしょうが、もはやそんな時代ではありません。
「うちには大手のような商品もなければ技術力もありません。強みと言われても、無理ですよ。」
そんなことを言っているようでは、はじめから勝負をあきらめるようなもので、結局は価格で勝負するか、彼らの下請けとしての地位に甘んじるしかありません。ならば、彼らとは異なる視点で、自分たちにしかできない競合優位を考えるべきです。それは、お客さまのシステムや業務の現場を理解しているという強みです。
受託開発に多くを依存するSI事業者は、お客さまの現場に入り、開発や保守に参画しています。そのため、現場の「困った」や「してほしいこと」は、自分のこととして受け止めているはずです。これを整理し、体系化して、わかりやすく表現してみてはどうでしょうか。お客さまは、大いに助かるはずです。そして、その解決策を提示するのです。そのとき、自分たちにできるかどうかは、考えてはいけません。まずは、お客様にとっての理想の結果、つまり「あるべき姿」を示すことです。そして、その内容をお客さまと合意し、次に自分たちができることを示す、あるいは、できないことは他社を紹介するといった手順を踏めばいいのです。
大切なことは、お客さまの「困った」を解決することです。その困っていることをよく知っていることは、大きな「強み」といえるでしょう。
ある特定のお客さまについて、このような取り組みを進めてゆくと、多くの点で他のお客さまの「困った」や「してほしいこと」と共通していることが見えてきます。ならば、それを整理し、他のお客さまに提案する材料としてみてはどうでしょうか。これもまた「強み」になるはずです。
IoTや人工知能など、流行のキーワードに飛びつくことばかりが、最善の策とは言えません。むしろ、いま関わっているお客様という財産を改めて深掘りし、自らの「強み」を再発見してみてはどうでしょう。
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ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
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