「ITが常識を変える」取り組みがすすんでいます。
- 決済や融資、国際送金など、既存の金融機関が収益の柱としている事業を、僅かな手数料で、しかもスマートフォンから即座におこなえるベンチャー企業の金融サービス
- 航空機のジェットエンジンや建設機械、自動車のタイヤなどのメーカーが商品をサービスとして貸し出し、使用時間や利用内容に応じて課金するサービス
- 特注品を標準品と変わらない金額と納期で提供しようという製造業の取り組み
- リモートワークで子育て世代の女性を労働力として活用したり社員の労働生産性を向上させたりする取り組み
- 個人の自家用車をタクシーや荷物の配送に使えるようにするサービス
- 個人住宅を宿泊用に貸出しできるサービス など
ITは、あっという間に常識を置き換えてしまいます。しかし、この現実に向き合おうとしない人たちも少なくありません。
電子情報技術産業協会(JEITA)が企業戦略を担う経営層や事業部門等の「非IT部門の責任者」を対象におこなった「ITを活用した経営に対する日米企業の相違分析」の調査結果によると、ITに対する期待や投資傾向について、両国に大きな違いがあることが明らかになりました。それによると、米国ではIT投資について「きわめて重要」が75%に達する一方で、日本は16%に留まっています。
また、ITに対する期待では、米国は「製品やサービス開発強化」や「ビジネスモデル変革」といった「攻めの武器」として考えているのに対し、日本は「ITによる業務効率化/コスト削減」をトップに挙げてます。さらに、「新規ソリューション」の認知度においても、クラウドやビッグデータなどのテクノロジーについて半分近くが、「聞いたことがない/知らない」と応えているのに対し、米国ではどれも1桁台に留まっています。
これらの調査結果から考えると、米国では経営層や事業部門が新しい技術を注視し、それを自社の競争力向上の手段として積極的に活かしてゆこうという姿勢が伺えます。一方、日本では経営層がITについての知識に乏しく、また差別化や競争力向上ではなく、業務の効率化やコスト削減などの内向きな目的のために活用するものとの認識が強いことがわかります。グローバルな競争が避けられないいま、企業の存続や日本経済の競争力をも左右しかねないゆゆしき事態です。
この事態を「ユーザー企業の問題」と片付けてしまっていいのでしょうか。ITに携わる私たちは、そんな世の中を成り行きまかせに眺めているだけでいいのでしょうか。
私が「ITソリューション塾」をはじめたのもそんな問題意識からでした。
「ITに関わる仕事をしていながらITを知らなさすぎる」
IT企業の人材育成に携わりながら感じていたことです。
「もっとお客様のビジネスや業務に精通すべきだ」
そんな話しをよく耳にしますし、その通りだと思います。しかし、それ以前に、自分の国籍たるITのことを知らなければ、そもそも私たちがお金を頂く意味がありません。
ここでいう「ITを知らない」とは、ITがお客様の業務やビジネスにどのような役割を果たしているのか、これからの常識をどのように置き換えようとしているのかを知らないということです。つまり、ビジネス上の価値や可能性を知らないと言うことです。ITの専門的知識やそれを使いこなすスキルとは、別の次元の話しです。
本来、ITとはそれを使うことではなく、それを使ってビジネス価値を生みだすことが目的でなくてはなりません。IoTや人工知能、クラウドを駆使してお客様のビジネスに圧倒的な競争力を与え、お客様を成功に導くシナリオを描き、実現させなければ、その価値を発揮できたとは言えません。
Javaができます、Oracleが扱えます、運用が分かりますは、いまの大切な収益の源泉です。しかし、それらの「知的力仕事」はやがてクラウドや人工知能に置き換えられてゆきます。この現実に目を背けてはいけないのです。
>> ルールを変えて下さい。それができなければクラウドSIerにはなれません!
「自分たちも変わらなくてはいけない」
多くの経営者が、そのことを真剣に語ります。しかし、なかなか実践できないのは、「お客様が変わらないから」だという人もいます。お客様が従来通りの「人月積算」を求め、ウォーターフォール型での開発を期待するから、こちらも変われないという主張です。
ならば、こちらがお客様を「かえる」しか、方法はありません。
「かえる」とは、お客様の考えを改めさせる「変える」と、相手にするお客様を「替える」という2つの意味があります。
「変える」ためには、ITを知り、それをどうビジネスに活かしてゆくかをお客様に提言し、共に創りあげて行こうという取り組みです。業者としてではなく、お客様の良き相談相手となって、お客様と共に考え、ITのプロとして、その役割を果たしてゆくことです。
>> 「共創」の3つのタイプ 〜 この言葉をお題目にしないために 〜
一方「替える」とは、お客様を替えることです。「クラウドはセキュリティが心配だから使えない」とか、「人工知能はうちの業務には関係ない」といった考えを頑なに変えず、信仰のように過去のやり方にこだわるお客様は、お付き合いをしても実りはありません。ならば、そういうお客様とはとっとと縁を切り、ITをビジネスの武器として活かしてゆこうというお客様を開拓することに時間を使うべきです。
そういう人たちへのメッセージは、技術や製品の機能や性能を伝えることではなく、「こんなやり方に変えませんか」、「こんなビジネスを創りませんか」といった言葉になるでしょう。
私たちは、自分達の役割を改めて問い直す時期なのかもしれません。お客様の期待に応えることから、お客様の期待を変え、期待を超えることへの転換です。そのためにも、いまITが社会やビジネスの常識を大きく塗り替えようとしていること、そして、それがお客様にとってどれほどのリスクであり、可能性なのかを伝えられる力を持たなくてはならないのです。
【最新】最新のITトレンドとビジネス戦略【9月版】
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今回は全資料について、ノートへの解説を追加しています。また、更新履歴が増えすぎたことで、ダウンロードボタンが押しにくいというご指摘をいだき、過去の履歴を別ファイルに集約して、すっきりさせました。
【インフラ&プラットフォーム編】(295ページ)
内容的に古くなったページを削除し、新たなページを追加、ノートの解説も増やしました。
【新規】「セキュリティが不安でパブリック・クラウドは使えない」は本当か? p.79
【新規】サーバー利用形態の歴史的変遷 p.160
【新規】SDIの求められる必然性 p.162
【新規】サーバー仮想化の3つのメリット p.188
【アプリケーション&サービス編】(256ページ)
人工知能関連のチャートを大幅に追加、解説(文章)付きスライドも増やしています。内容の古いチャートは削除しました。
【新規】「自動化」から「自律化」への進化 p.139
【新規】人工知能・機械学習・ディープラーニングの関係 p.147
【新規】「記号処理」から「パターン認識」へ p.152-153
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【新規】シンギュラリティの意味 p.184-185
【新規】システム資産・運用の歴史的変遷 p.232
【新規】汎用目的技術 p.254
【新規】PC誕生の歴史 p.255
【ビジネス戦略編】(94ページ)
記載内容が古いチャートを削除し、解説文付きのチャートを増やしました。
【新規】デジタル・トランスフォーメーションの意味 p.4
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【新規】”uberlist”になるための実践ステップ p.12
【新規】バイモーダルITと人材のあり方 p.73
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これまでと同じやり方では、収益を維持・拡大することは難しくなるでしょう。しかし、工夫次第では、SIを魅力的なビジネスに再生させることができます。
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- 歴史的事実や数字的裏付けに基づき現状を整理し、その具体的な対策を示すこと。
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